坂口恭平のプロフィール

1978年熊本県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。
在学中から、大規模な現代建築を設計する建築家に疑問を持ち、
人が本来生きるための建築とは何かを模索し続けている。
路上生活者の住居を、都市の中の天然素材で作られた建築と捉え、
フィールドワークを行っている。
著書にカリスマホームレスの一人である隅田川の鈴木さんの生活を追った、
ノンフィクション「TOKYO 0円ハウス 0円生活」、
彼をモデルにした小説「隅田川のエジソン」がある。
現在「TOKYO 一坪遺産」が好評発売中。

WEB・書籍情報:http://www.0yenhouse.com/

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Q10.ローンで小さな家を買おうとしています。でも、これまで働いてきた成果と、これから働くモチベーションを、すべてその家のためにかけてしまってもいいのだろうかと悩んでいます。どうしたらよいのでしょうか?(38歳・サラリーマン・男性)

「大ちゃん」

はじめまして、多摩川沿いに住む大ちゃんです。49歳です。
今回は特別に私が質問に答えます。

マイホームねえ。
どうして、人間はバカ高いお金を払ってまで
自分の家を手に入れようとするのかね。
私には不思議でしかたがない。

だって、家っていうものは買い物するものじゃないんだよ。
家は、人間にとって一番重要な空間なんだから、
パンフレットを見て、そこから選んでどうするの。
自分の家は自分の手で作らないと。

一度でいいからそれをやってみてほしいね。
そうすれば、今の売られている家がどれだけ法外な値段かわかるよ。
私の家は三万円で建ちました。
本当はそんなもんでできるんだよ。

しかも、専門的な技術なんていらない。
わからないことがあれば、私たちに質問すればいい。
どんな人間にでも家は建てられる。
それは断言してもいい。
路上生活者だって、もともと大工さんだったわけじゃない。
いろいろと試行錯誤して、少しずつ作れるようになった。
もっと家というのは身近なものなんだよ。

頼むから、自分が働いてきたお金をすべて払って、
しかも今後も何十年間もローンを組んで、
家を手にしようなんて考えないでくれよ。
10万円もあればお釣りがくるから。

「巣の保持」のために全生涯を費やさなきゃいけないんだったらさ、
人類なんて今ごろ絶滅してるよ。

家は誰でも建てられる。しかも、金なんてかかりゃしない。
そのためだけに働くなんてばかげているでしょ。
それよりも、自分の手で安く家を造って、
そこを拠点に、自分が本来やるべきことは何かって、
考え続けることのほうが重要だと思うよ。
私がさらに気になっているのは、土地だね。
なんであんなに土地が高いんだよ。
そもそも、なんで人間は土地を所有しなくちゃいけないのかね。
土地を持っていれば、何十階建てのマンションでも作っていいって、
そういう法律は、私にとっては駄目な法律だね。
土地は誰のものでもないよ。本来は。
せっかくこの世に生きているんだから、
ぜひそういうことまで考えてほしいよ。

●小学館オンライン ⁄ ブックピープル
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