坂口恭平のプロフィール

1978年熊本県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。
在学中から、大規模な現代建築を設計する建築家に疑問を持ち、
人が本来生きるための建築とは何かを模索し続けている。
路上生活者の住居を、都市の中の天然素材で作られた建築と捉え、
フィールドワークを行っている。
著書にカリスマホームレスの一人である隅田川の鈴木さんの生活を追った、
ノンフィクション「TOKYO 0円ハウス 0円生活」、
彼をモデルにした小説「隅田川のエジソン」がある。
現在「TOKYO 一坪遺産」が好評発売中。

WEB・書籍情報:http://www.0yenhouse.com/

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Q13.民主党に政権が移って、何かが変わるのかと期待していたのですが、蓋を開けてみると、社会が良くなるどころかますます悪くなっているように見えます。一体これからどうすればいいのでしょうか。このような世の中最悪の事態でサバイバルしていくための方法を教えて下さい。(35歳 会社員 男性)

「大ちゃん」

はい、大ちゃんです。
サバイバルしていくための方法ねえ。
サバイバルとは昔の軍隊用語で言うと、
補給も支援もないところで、たった一人とにかく生き延びる、
ということ。
親が死のうと、子が死のうと、とにかく自分は生き残れと。
しかし、これでは現代人にはちょっと厳しすぎる。
現代においてのサバイバルとは、
一言で言うと、
「工夫して生き抜く」ということじゃないかな。

私は自分を現代のサバイバーであると思ってる。
例えば、私が今持っているこの携帯電話。
路上で拾ってきたもんなんだけど、
だからといって、ただのゴミではないんだな。
携帯電話を充電するコンセントなんか、うちにはないけど、
乾電池は毎日ゴミ置き場に落ちている。
乾電池を使う充電器も落ちている。
だからそれを使って充電して、
通話はできないけど、ワンセグでテレビは観られる。
画面が小さいだって?

私は、拡大鏡も持っているから大丈夫。
二倍に画面を拡大して、音はラジオを同期させて大音量で観ているよ。
こうやって、工夫すれば、一円も使わずにテレビが観られる。

ほかにも、工夫でなんでもできるんだ。
これこそがサバイバル。
工夫をすればするほど、人間の直感は高まっていく。
現代人にはこれが足りないんだよね。

私の生まれは沖縄。
子どもの時から、ずっと海と接してきた。
自然からサバイバルをすることを教わったんだよ。
それは今でも役立っているね。
私は上京してきて産業廃棄物の会社を立ち上げた。
人の下で働くのは大嫌いだったから、自分でやろうと思ったわけ。
で、うまくいったんだけど、
稼いでいることを知ったヤクザが
入り込んできちゃって、
潰された。
すぐに無一文になっちゃった。
これは辛かったね。絶望したよ。
死のうとも思ったんだけど、これで終わっちゃダメだよなと思って、
一念発起、自転車で全国を旅することにしたの。

これが自分のサバイバル心を叩き起こしてくれたね。
自転車で向かったのは、山。
山にこもって、自然の恵みを採集しながら数年過ごすことにした。
幼いときの海での体験を思い出しながら、
人間一人で生き抜く方法を学んでいったのよ。
そうしてエネルギーを蓄えて、再び東京へ向かった。
敗者復活戦のようなもんだ。

●小学館オンライン ⁄ ブックピープル
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