坂口恭平のプロフィール

1978年熊本県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。
在学中から、大規模な現代建築を設計する建築家に疑問を持ち、
人が本来生きるための建築とは何かを模索し続けている。
路上生活者の住居を、都市の中の天然素材で作られた建築と捉え、
フィールドワークを行っている。
著書にカリスマホームレスの一人である隅田川の鈴木さんの生活を追った、
ノンフィクション「TOKYO 0円ハウス 0円生活」、
彼をモデルにした小説「隅田川のエジソン」がある。
現在「TOKYO 一坪遺産」が好評発売中。

WEB・書籍情報:http://www.0yenhouse.com/

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Q4.学校で地球の温暖化や石油資源について習いました。このままだと、ぼくたちが大人になるころには、クルマにも乗れなくなると思います。世界に食料危機が起こるかもしれません。どうしたらいいですか?(中2男子)

「長明さん」

はじめまして長明です。今回は私が担当します。
地球温暖化や、資源の無駄遣い、食料危機。
これらの問題は、
政府が啓蒙して、個人が努力する必要があるでしょうね。
今は頭で考えて、大騒ぎしているだけで、
本質的なことを見過ごしてしまっているように思います。
世界的な視点に立つことも要求されます。
先進国だけが悪いという考えでは駄目なのです。
その中で一人一人が何をすることができるか。
それをちゃんと実行していくことが重要でしょうね。


私たちが中学生の時分は、人類の問題といえばやはり「戦争」でしたが
今の中学生は「地球温暖化」なんですね。
日々の暮らしに直結している問題ですから、それだけ切実でしょう。

おじさんが実践していることについて少し話してみましょう。
おじさんは多摩川河川敷に家を建てて、15年以上暮らしています。
家の材料は、もちろんすべて廃材を再利用しています。
道を歩いていると、たまに解体現場と出くわす時があります。
そこでちゃんと交渉して、使えそうなものをもらってくるんです。
リヤカーも持っていますから、これで結構集めることができます。
そうすることによって、住宅廃材は減らすことができるし、
さらに人生で一番高い買い物であるはずの家を、
0円で作ることが可能になります。

さらに、おじさんはゴミ置き場で捨てられている金属製の不燃ゴミ、
粗大ゴミも拾ってきます。
アルミ二ウム、銅、真鍮などで作られたフライパンや鍋などを収集し、
金属ごとにちゃんと分別して、屑鉄屋に売ってリサイクルしています。
鉄はあんまり効率的に稼げないので拾いません。
これはリサイクルといっても、
今きみたちがやっているようなリサイクルとは違います。
完全に仕事として、お金になるものとしてやっているのです。
だから、こちらは徹底してやるわけです。やった分だけ返ってくるんですから。

資源についてもおじさんは独自のやり方で生活をしています。
まず、水。
あなたたちは蛇口を捻ればすぐ水が飲めるようになっているために、
節水して暮らそうと思ってもなかなか実行できないでしょう。
私は、水道の水は一切使っておりません。多摩川の水でもない。
では、何を使っているのかと言うとですね、
雨水なんです。
きみたちは東京の雨水なんて、埃と塵にまみれて、
とても飲めたもんじゃないと思うでしょ。

ところがどっこい、
東京の雨水もちゃんと飲めるんです。
降り始めは、もちろん汚れています。
そこでおじさんはしつこく調査を行ったのですが、
2時間、目いっぱい降った後の水を採集して調べると、
真水と変わらないほどきれいなものだったのです。
だから、私は2時間1分目から雨水をバケツなどで集めるんです。
これで紅茶でも沸かしてごらんなさい。
水道水が飲めなくなりますから。
しかも、純水と言っていいほどきれいな水なので
バケツに溜めておいても、2か月ほど保存がききます。

水道水というのは、簡単に腐ってしまうんです。
実は不純物がたくさん入っているんじゃないでしょうか。
水道水ができる前のダムに貯められている水を見たことがありますか?
もちろんきれいなところもありますが、
中にはヘドロ混じりのところもあり、あれを見てしまったらおそらく
きみたちも、雨水を溜めようと思うはずですよ。
雨水を溜めるだけですからローインパクトで、しかも、うまい。
本当のリサイクルというのは、このように一石二鳥の関係なのです。

本質的に地球環境のことを考えていこうとするならば、
今までのように自動的になんでも手に入れて、飽きれば捨ててきた、
やり方を変えなければいけない。
それを私は東京の路上で実践をしながら生きているわけです。
人間の社会にとっては、
おじさんは住所がないところに住んでいる駄目な人なのかもしれませんが、
地球全体のことを考えて暮らしているのです(笑)。

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