「自公圧勝」と今後の金融政策

 去る10月22日に行われた衆議院議員総選挙では、自民党・公明党合わせて313議席を獲得し、与党が圧勝しました。与党の勝因については、さまざまな意見がありますが、結果だけを見れば、国民が安倍政権の政策を信任し、現状維持を選んだ、ということになるでしょう。

 市場の受け止め方はまさしくそれで、株式市場では選挙後も株価の上昇が続き、日経平均株価は、過去最長である16連騰を記録しています(10月24日時点)。これは、安倍政権の経済政策「アベノミクス」が、今後も継続されるという、特に外国人投資家による期待感がもたらしたものと言えるでしょう。

 現在、日本銀行は、アベノミクスの一つである「大胆な金融政策」として、インフレ率2%達成を目標に、世の中に出回る資金量を増やす「量的緩和」と、長期国債やETF(上場投資信託)などのリスク資産を買い入れる「質的緩和」、それに加えて、「長短金利操作」(短期金利を-0.1%、10年金利を0%程度に固定)を同時に行うという政策を続けていますが、市場は、それが今後も維持されると受け止めたわけです。

 しかし、「非伝統的政策」と言われる現在の金融政策をいつまでも続けることは、現実的には不可能です。いずれ正常化に舵{かじ}を切らなくてはなりません。

金融緩和を変更する絶妙なタイミングは「今」

 金融政策の正常化……。実は、そのタイミングは、まさに「今」をおいてほかにはないと、私は考えています。それどころか、この「今」を逃すと、今後、正常化を進めていくことがますます難しくなってしまいます。
 では、なぜ「今」なのでしょうか?
 それは、現在、日本も含めた世界経済が、「絶好調」ともいうべき状態にあるからです。
  たとえば、OECD(経済開発協力機構)が9月に発表した最新の経済見通しでは、2017年の日本の経済成長率は1.6%になると見込まれています。これは、OECDが見込む日本の潜在経済成長率0.7%に対して、倍以上の良好な数値となっています。

 2017年の経済成長率が高いのは、欧州やアメリカ、中国においても同様です。同じくOECDのデータを見ると、ユーロ圏2.1%、アメリカ2.1%、中国6.8%という成長率になっています。

 現在、アメリカでは2009年6月に景気後退局面の「底」に達して以降、景気拡大局面に転換しており、もう8年以上も景気拡大が続いています。そろそろ景気拡大の「山」(ピーク)をつけて、いつ景気後退局面を迎えてもおかしくありません。

 しかし、昨年11月にドナルド・トランプ氏が大統領選で予想外の勝利を獲得して以降、彼が選挙キャンペーン中に約束した減税政策やインフラ投資、金融規制の緩和などに対する期待が高まり、大きく株式市場も好感しました。また、当面は、法人税・個人所得税など減税を含む抜本的な税制改革や金融規制緩和が実現しそうな兆しも出てきており、市場や企業の期待も高まっています。

 さらには、トランプ氏がまだ大掛かりな保護貿易主義を実行に移していないことも、アメリカの経済成長には追い風となりました。北朝鮮の脅威が高まる中、仲介的役割が期待される中国に対して、貿易不均衡の是正を厳しく迫らなかったことが、その一因です。

 一方、欧州では、世界金融危機に加えて、2010~2012年の欧州債務危機を経て、2014年からようやく景気回復が始まったばかりです。今は、長らくなおざりにしていた企業の設備投資も始まり、景気回復の勢いがついている状況にあります。

 さらに、中国は、2017年10月の共産党の党大会に向けて金融緩和と公共投資による財政刺激策によって景気を押し上げてきました。
 加えて、日本ではオリンピック需要によって、景気が上向いています。

 こうした各国の好条件が重なって、世界貿易も久しぶりに経済成長率を上回って拡大しており、世界全体で極めて良好な経済状態となっています。
 そして、こうした良好な世界経済環境とオリンピック特需のもとで、日本経済は、これ以上望めないといっていいほど幸運な状況にあるわけです。