景気後退局面の始まりは「2019年」

 私は、オリンピック特需が終わりに近づく2019年頃に、日本は景気後退局面に向かうと感じています。本格的に日本経済の問題が露呈してくるのは、2020年のオリンピック後だと思いますが、その兆しは2019年頃に出てくる可能性があると見ています。
  IMF(国際通貨基金)等のデータを見ても、次の景気後退局面は、2019年頃と予測されています。しかもその年には、日本では消費税の引き上げが予定されており、景気が一時的に下ぶれする可能性もあるのです。
 そうした中、さらなる金融緩和を進めようとしても、日銀にはほとんど打つ手がなく、ますます景気後退に拍車をかけてしまうことにもなりかねません。2019年は、政府にとっても、日銀の政策決定者にとっても、たいへんな試練の年になるでしょう。

 世界各国の中央銀行は今、次々に金融政策の正常化を進めています。
 アメリカは利上げに引き続き、これまで中央銀行が市場から購入してきた資産の圧縮に動き出しています。次に景気後退が起きた時に、十分な金融緩和で対応できるようにするために、慎重ながらも着実に正常化の道を進んでいく覚悟でいるようです。
 また、欧州中央銀行(ECB)は、2018年1月から量的緩和政策の縮小を発表しました。インフレ率は低く、2%程度の物価安定目標には程遠い状態ではありますが、景気が好調な今がチャンスとばかり、金融政策の正常化に向けて動き出したわけです。
 一方、日本では「与党圧勝」という選挙結果により株高が実現したうえに、好景気という絶好のチャンスにもかかわらず、金融政策の正常化へと動くのが難しいという状況に陥ってしまいました。

次期日銀総裁にとっての最大の課題とは?

 2018年4月に、日銀の黒田東彦総裁は任期満了を迎えますが、黒田氏が続投する可能性が高まっています。
  11月1日に安倍首相は内閣総理大臣記者会見で、来年4月の日銀総裁人事は白紙だと言いながらも、「私は、黒田総裁の手腕を信頼している」「2%の物価安定目標にはまだ届いてはいないが、引き続き日銀が目標達成に向けて取り組むことを期待しています」と言い切っており、金融政策は現状維持とすることを明らかにしています。
 そうである以上、あえて総裁を替える理由が見当たりません。替える場合には、よほどの理由がなければ市場を納得させるのは難しいでしょう。
 ただし、繰り返しになりますが、現行の金融緩和政策を維持していくには限界があります。次の総裁の5年の任期中においても、円安による一時的な輸入物価インフレを除けば、インフレ率2%の安定的実現は難しそうです。そのため、日銀の目標が達成される前に、「正常化」に向かわざるを得ないでしょう。
 その時、いかにして市場に大きなショックを起こさずに、少しずつ金融政策の正常化を進めていけるか……。
 そうした極めて難しい舵とりこそが、次期日銀総裁が取り組むべき最大の課題であると言えるでしょう。

※次回更新は12月13日(水)の予定です