アメリカと中国が、
外交、経済で結び付きを強める可能性あり

 もうひとつ、北朝鮮問題で見落としてはいけないのが、この冬から春にかけて、北朝鮮では食料危機が避けられない状況になっていることです。
 北朝鮮の兵士たちは、毎年、春になると田植えに駆り出されるのですが、2017年はアメリカの原子力空母・カールビンソンが4~5月に日本海等に展開したため、前線に張り付かざるを得ず、田植えができなかった。そのことが、この冬の食料危機の大きな原因の1つです。

 では、食料難から、北朝鮮国内でクーデターが起こる可能性もあるということですか?

 ないとはいえません。ただし、そのクーデターの背後には中国がいることが考えられます。そうなれば、先ほどお話しした中国が介入するというシナリオが現実のものとなり得ます。
 そもそも、習近平の思惑として、2017年秋に政権2期目がスタートし、次の3期目を確実にするためには、ここで経済や外交等で実績を作る必要があります。その1つのカードが、北朝鮮問題で主導権を握ること。その意味で、中国は北朝鮮に関して、2018年は本気になってくる可能性が高いといえます。

 となると、中国の北朝鮮への介入も、2018年は現実味を帯びてくるわけですね。
 実際、中国が北朝鮮国内を牛耳るようになれば、アジアにおいての中国の力がますます強くなっていくことが予想されますね。

 おっしゃる通りで、その象徴的ともいえるのが、現在、中国が台湾に行なっている「締め上げ」です。
 たとえば、今、台湾への中国本土からの観光客が激減していますが、この背景には中国政府による圧力があることは広く知られています。
 また、台湾の資本や技術は、今、中国国内へどんどん取り込まれていっている。さらに、外交においては、台湾と国交のある国に対して、札びらをきって中国との国交に移行させる動きを強めています。
 2016年の総統選挙の際にはあれだけ大きく「台湾独立」を掲げていたにもかかわらず、蔡政権が非常におとなしくなってしまっている理由は、こうした中国からの締め上げがあるからに他なりません。
 北朝鮮への介入もさることながら、2018年は、中国の台湾に対する積極攻勢も重要なポイントになります。

 中国が台湾を軍事統合する可能性もあり得るということでしょうか?

 その可能性はほとんどないと思います。最もあり得るといわれているのが、台湾に対して一国二制度を持ちかけて、平和的統合という建前のもと、順次、自国に取り込んでいく、というやり方です。今、香港に対して行なっているのと同じ手法です。
 ただ、それを実行に移すには、アメリカに黙っていてもらうカードが必要になります。そこで、ここでもまた、中国とアメリカとの「ディール」があり得ます。
 実際、トランプ政権は、その発足当初こそ、台湾独立を支持する空気がありましたが、今は一切、そのことに触れなくなっています。

 トランプ大統領は、就任当初、中国に対して保護貿易主義的な政策の実施をあれほど強く打ち出していたにもかかわらず、北朝鮮問題での中国の協力を取り付けるために、2017年はそれにはあまりタッチしませんでした。
 とはいえ、ここ最近、対中国の貿易赤字を減らしたいという発言もしていますから、そのあたりで中国がアメリカに多少の譲歩をして、その代わり台湾問題に口を出さないでくれというディールもあり得るかもしれませんね。

 それに加えて、中国が打ち出している現代版シルクロードともいえる「一帯一路」構想や、中国主導で発足したAIIB(アジアインフラ投資銀行)にアメリカを巻き込んでいく可能性があるともいわれています。事実、2018年には、そのAIIBにアメリカがオブザーバーで参加するかもしれないという噂も出てきています。
 トランプ大統領という人物は、政治的イデオロギーや価値観、人権問題といったものに無頓着ですから、その意味で、中国にとっては今のところ「都合のいい人物」といえます。

 となると、今後は、中国とアメリカの結び付きが強まり、アメリカと中国の二大大国がアジアを牛耳っていく、となっていきそうですね

 まさにおっしゃる通りで、この2つの国には「大国主義的な空気を持つ」という共通項があります。要するに、「我々で太平洋を仕切ろう」という話がお互いに好きな国といえます。
 そういう意味で、2018年以降、アジアにおいては、両者のディールによってすべてのことが決まっていく傾向が強まっていく可能性があります。