「デコぬりえ」のやり方、教えます。「デコりたい!」その気持ちを大切に

 子どもの頃、ぬりえに没頭した日のことを思い出してみてください。
 ぬりえは何枚かひと組で販売されていて、たとえば「きいちのぬりえ」の場合は、袋入りのほか、上部の二つ穴をリボンで綴じた形でも売られていました。
 複数のぬりえを前にして、どれからぬろうかと迷ったものです。いちばん好きな絵から真っ先にぬった人もいるでしょう。好きなものは最後のお楽しみとしてとっておくか、あるいはぬらずにしまい込んだ人もいたかもしれませんね。好きな絵柄をめぐり、姉妹で取り合いになったという話も聞きます。
 ぬる絵が決まったら、好きな色、あるいは絵柄に似合いそうな色を選んで、さっそくぬり始めたものです。
「デコぬりえ」についても、手順はまったく同じです。「これぞ!」というカラーコーディネートでぬってみましょう。
 ぬり終えた後は、さまざまな材料をはりつけてデコレーションしますが、ここでも色の組み合わせを意識することは重要です。
 とはいえ、難しく考える必要はありません。はる材料については、多少厚みのある着色済みのパーツと考え、組み合わせバランスを見ていけばいいのです。ぬるだけでは出せなかったゴージャス感フワフワ感を可能にする材料は何か、どれを用いれば主人公が引き立つのか、材料をぬりえに当てながら考えます。服を買う前に試着するのと同じ感覚です。
 自分のイメージや全体的な調和を尊重する点では、ふつうのぬりえもデコぬりえも変わりありません。大切なのは「デコりたい」という気持ち。「デコったら、どんなふうになるかしら」という期待です。
 デコを意識すると、選ぶ絵が変わってくるかもしれません。一般的にぬりえ好きは、細部まで描き込まれた絵柄を選ぶ傾向にあるようです。そのほうが、数多くの色を使えるし、それでいて統一感のある画面にまとめあげる。ここが“ぬりえ上手”の腕の見せどころだからです。ところが、デコレーションを考えると、あっさりとした絵柄も悪くないことに気づくでしょう。
 は新シリーズ「おしゃれ編」の中の1枚です。シンプルなドレスに、「柄を描き入れないと少し寂しい」と思う人がいるかもしれません。けれども、デコることでガラリとイメージが変わる。その変化を楽しむのにうってつけの絵柄といえます。ドレスは下ぬりの感覚で、淡色でさらっと仕上げてみてください。そのほうが、上にはったスパンコールやフリルが映える場合があるんですね。
 同様に、「昭和の暮らし編」の中のもデコ映えする1枚。着物に帯におんぶひも、下駄の鼻緒などなど、もうデコり放題です。
「デコぬりえ」のやり方、教えます。「デコりたい!」その気持ちを大切に

「ボンドではる」が基本です

 デコぬりえの材料が100円ショップだけで揃うことは、前回、説明済みです。手芸品コーナーだけ覗いても、布地、レース、フエルト、リボン、毛糸、ビーズ、ボタンなど、そのほかにも材料になるものがまだまだありそうです。
 リボンはラッピングコーナーにもありますし、文具コーナーの千代紙や化粧品コーナーに並ぶネイルアート用のシールなどを用いても面白いでしょう。
 意外なもののひとつに挙げられるのが、アロマ売り場のポプリです。白、赤、紫、ピンク、ブルーなど、ポプリにさまざまな色があることをご存知ですか?ポプリを材料にすると、あたりに心地よい香りが漂います。デコぬりえの楽しさと好みの香り――何倍にも癒される感じがするので、ぜひ試してください。
 ある程度材料を集めたら、はる作業に入ります。基本的には木工用ポンドはるだけですから、ほかにはさみカッターがあれば特別な道具は何もいりません。木工用ボンドを使う理由は、紙、布、木などの接着に向いていることと、乾くと透明になることです。
 たとえば、ドレスのすそにレースをはる場合、ドレープに合わせてレースにもギャザーを入れようとすると、かなり多めのボンドで固定する必要があります。でも、どんなに厚くぬっても乾けば透明になってしまうので、そのへん、神経質にならなくても大丈夫なんですね。
 ギャザーをよせたり、タックをとったりしたいとき、多量のボンドをつけずにできる方法もあります。カッターでぬりえに切り込みを入れたら、そこに布やレースをはさみ、裏からセロハンテープで止めるという方法。この少し上級のテクニックは、ぬりえ美術館でデコぬりえを指導されているyunさんに教えていただきました。
 また、着物の柄として布地をはりつける場合にも、こだわりの技が。それは、布をはる部分をカッターで切り抜き、裏から布を当てるというもの。こうすると、上からはりつけるより仕上がりがきれいですし、布を膨らませるようにはると立体感も出ます。
 

実例から学びましょう

 トップページの『進化するきいちの世界』で見られる作品「えひがさ くるくる はるびより」は、イラストレーターのyunさんが手がけた力作のひとつです。このコーナーのために完成までの手順をまとめてくださったので、確認していくことにしましょう。
 デコぬりえ初心者にとって参考になる点が、きっとたくさんあるはずです。
 
参考画像1・2
じっと絵をみつめ、完成図をイメージしてみましょう。完成図までは想像できないという人は、「全体をこんな色でまとめよう」とか「この部分を強調しよう」という程度でもOKです。
舞台や映画で見た衣装や、家族や自分の着物姿を思い出して参考にするのも一案です。
この絵の場合、季節は「春」なので、春の雰囲気を出すことも忘れないでください。
色選びの際にデコレーションする材料を選んでおくのもいいですね。
面積の広い部分からぬっていきましょう。背景は春を連想させる淡いピンクでぬり、着物も同系色で。布をはる予定の模様部分は、カッターで切り抜いておきます。
yunさんは「まず帯を決めておきたい」という理由から、早くもこの部分のデコレーションを済ませています。帯部分を切り抜き、裏から布を当ててふっくら感を見事に表現しています。
デコぬりえ初心者は、「ぬる」を終了してから「はる」に移るのがベターですが、「ここぞ!」という箇所に関しては、「ぬる」の途中で「はる」のもアリ。
三頭身の大きな顔についてもぬり整えておきましょう。
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参考画像3 3
えひがさもかなりの面積を占めるので、早めに色を決めておいたほうが良いでしょう。
えひがさのオレンジ色と着物のピンクを組み合わせて、きいちマークの鳥とタイトル部分のリボンの色もほぼ決まりました。
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参考画像4・5
切り抜いておいた花びら模様の部分に、裏からハギレを当ててみます。どう配置するのがいちばん自分のイメージに合うか、いろいろ試してみましょう。決まったら、裏から固定します。残りの花びらについては薄いピンク色でぬります。花びら全部に布を当てるという方法もありますが、一部分にしておいたほうがアクセントになるようです。
えひがさの花びらもピンクにぬっておきましょう。
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参考画像6・7
えひがさの輪郭にそってカッターで切り込みを入れ、レースや飾りをはさみ込んだら裏で固定します。
たもとやすそにもレースをあしらい、髪や帯締めなども飾りましょう。
背景にさくらの紙ふぶきを散らすと春気分アップ。
画面に動きが出て、女の子がえひがさを回しているように見えませんか?
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参考画像8
 
 
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最後にラメ入りのカラーペンなどを使って、ゴージャス感を出します。着物の柄がグンと華やかになりました。