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BOOK PEOPLE × 本の窓
  • 自著を語る1
    齋藤孝
    『「言葉にできる人」
    の話し方
    15秒で伝えきる知的会話術
  • 2017.7
日本人に共通する
「言葉にできない」
問題の解決法とは
「多くの人が、会話におけるもどかしさを感じているのではないか?」。これが本書執筆のきっかけです。もっと上手く話せるはずなのにタイミングを逃してしまう、知識はあるのに会話の文脈に乗れない、といった不全感を抱えながら話している人が多いと感じています。
 だからといって、今の人たちは会話が下手だというわけではありません。口コミサイトでは気の利いたコメントがやりとりされており、感心しています。ただ、こと会話となると、思いや考えを上手に伝えられなかったり、誤解を受けてしまったりする。もったいない事態です。
 もどかしさという点で言えば、ついつい話が長くなってしまう人もいます。限られた時間の大半を使って延々と話をしてしまう人、心当たりがあるのではないでしょうか。それは例えて言えば、小学校の十分休みにやるサッカーで、一人で七〜八分ドリブルを続けてしまうようなこと。しかし、会社の会議では何となくこういう人が容認されてしまっている。これは由々しき問題です。
 長々と話し続ける人がいると思えば、いざ自分の番になると上手く話せない人がいる。これは、「生産的な会話とは何か」「会話のルールとは何か」が理解できていないためではないでしょうか。
 ルールを踏まえてテンポよく公平に会話を楽しむためには、まず自分の会話力を知っておく必要があります。そう考えて、会話力をはかる物差しとして二つのベクトルを提示しました。一つは「知っている」という知識の物差し、もう一つは「伝えられる」というアウトプットの物差し。それをマトリックスとして、「知っていて言葉にできる(C)」「知っていて言葉にできない(A)」「知らなくて言葉にできない(B)」「知らなくて言葉にできる(D)」という四つのゾーンにわけてみました(図)。
 上手く話せないというと、往々にして知識や情報の量を増やすインプットに意識が向きがちなのですが、大事なのはアウトプット(言葉化)すること。じつは、インプットしたらすぐにアウトプットすることで、知識は定着します。つまり、インプットしたものを自分のものにするためにはアウトプットが欠かせないのです。そして会話力とは、知識をすぐに取り出せる、文脈に合った知識が取り出せるというアウトプットの力のことなのです。ただし、すぐに取り出せるとしても、何十年前の武勇伝や自慢話を繰り返し話すような“人間ジュークボックス”状態ではアウト。情報には鮮度も大切です。
 江戸時代には、真面目に田畑を耕したり親を大事にしたりする人が重宝されました。が、今は違います。話がおもしろい人、また話したいと思わせる人が重宝される時代です。だから本書では、会話でのもどかしさや淀みを解決するための策とコツをまとめました。
 会話は人間関係の基本。会話力は、幸福感の大本であると言っても過言ではありません。生産性と幸福感の高い会話のために本書を活用していただけたらと思います。
  • 『「言葉にできる人」の話し方
    15秒で伝えきる知的会話術』
    齋藤孝/著
    定価:本体780円+税
    小学館・刊 新書 208ページ
    大好評発売中
    ISBN 978-4-09-825299-2
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