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クソバイス

文: 犬山紙子
犬山紙子
犬山紙子

1981年生まれ。ブロガー、イラストエッセイスト。トホホな生態を持つ美女たちを描いた『負け美女 ルックスが仇になる』(マガジンハウス)でデビューし、現在もテレビや雑誌で活躍中。『言ってはいけないクソバイス』(ポプラ社)が絶賛発売中!!Twitterアカウントは@inuningen

クソ+アドバイス=クソバイス

「あえて言うんだけど……Twitterでつぶやきすぎじゃない? 暇っぽく見えて損だよ?」

「ジャニオタやってるうちは彼氏できないんじゃない?」

「え? 子供まだ小さいのに職場復帰するの? 余計なお世話かもしれないけどお母さんが側にいてあげたほうが良いよ……子供がかわいそう」

「またそんな格好して……。もっと女子力磨きなさい」

「35歳かあ。35過ぎると結婚できるのって3%らしいから焦ったほうがいいよ~」

「ハハハ、女は子供を産んで一人前だからね、頑張りなさい」

「男はぽっちゃりが好きなんだよ。ダイエットしなくていいよ」

「電車でもスマホか。スマホばっかりいじっていると自分で考える能力がなくなるぞ」

「え? 賃貸なの? マイホームのほうが絶対良いって! 家族の絆が深まるよ~!」

う…

う…

うるさ―――――い!!!!

モヤモヤどころか怒ってしまいましたが、こういったアドバイスの形態なら何言ってもOKみたいな風潮にのっとり、相手の事情なぞお構いなしに上から目線で持論を押し付けて気持ちよくなる行為を「クソバイス」と呼んでおります。
簡単に言えば、クソみたいなアドバイスがクソバイス。

アドバイスのはずなのに、なんかモヤモヤ…

一見アドバイスだから「あれ? これは相手の言葉をちゃんと聞かなきゃいけないのかな」「せっかくアドバイスを言ってくれているのにイラッとする自分はダメなのかな」と、まじめな人ほどモヤモヤする仕組みになっているコメント。

こんなもの、無視していいのです。

上のクソバイス、もう一度読み返してみてください。
全部相手の事情ガン無視して持論を押し付けているだけですから。もし本当に相手を心配していたらまず相手の事情を聞くところからスタートするはずで、そこをすっ飛ばして持論を押し付けている彼、彼女らはただ気持ちよくなりたいだけ。人より上に立ったつもりになれるのでしょうね。

Twitterでやたらつぶやくのにも、すぐ職場復帰するのにも、結婚していないのにも、賃貸なのにも、ダイエットするのにも、ジャニオタなのにも、スマホいじるのにも、何にだってその人なりの事情があるし、そもそも咎められることでもない。自分を責める必要なんてなく、むしろ「はい、クソバイス~」と流していかないとしんどくなる。女は特にクソバイスの餌食になりやすいですから。

相手のコンプレックスが透けて見える

思春期はモテるためのクソバイス、アラサーは早く結婚しろ、子供産まないとリミットというクソバイス、子供産んだら子育てクソバイス……
女から女へ、男から女へ。
もちろん男から男へ、女から男へのクソバイスもたくさんあります。
でも、女のほうがいまだ立場の弱い日本ではクソバイス被害に遭いやすいのも女だったりするのです。立場が弱いゆえにモテテクも「バカなフリをする」とか「教えてもらう」とか「初めてって連発しろ」とかしょうもないものばかり。日本の一部男性も女にバカなフリされて喜ぶってのもどうなんでしょうね。スーパーダサいと思うんですが……。(あと、女もこの手のモテテクそろそろ手放してもいいかもね……余計立場弱くなるもの)

話がそれましたが、クソバイスがアドバイスとして蔓延(はびこ)るこの世の中。心構えや対処法が欲しいところ。私がやっているのは「相手は何故クソバイスをしてしまったのか?」と考えることです。そうすると彼、彼女らのコンプレックスだったり、育ち方だったり、傲慢さだったり、いろいろ見えてきて、最終的には怒りよりも「クスッ」と笑っていることが多いんですよね。

気づけば、私もやっちゃってた…

と、ここまで被害者の立場で書いておりましたが、自分でもやってしまっている可能性も大なのがクソバイスの怖いところ。もちろん犬山も結構やっておりました。「そんな地味な服着るのやめたら」とか「もっと効率あげたらいいのに」とか「今の時代はSNS使って仕事取らないと」とか……はずかしーっ! 相手が気を遣って「う…うん、考えてみる……」とすごい微妙な表情で言ってくれてるの見ても、良いこと言ってやってるくらいに思っていましたからね。むしろ、「もっと本気で考えたらいいのに!」とか思ったり。犬山、お前は相手の人生背負えるのかーっ! アドバイザーなんて全く反省しないものでして……う~んクソバイスする人が後を絶たないわけです。

そんなわけで少しでもクソバイスが消えて、良いアドバイスが残りますよう、この言葉が広まることを願うばかりでございます。

クソバイスをもらったら、心の中で言い返せ!

ここからは、上記のクソバイスに対する、犬山、心の叫びでございます。
相手に本当に言い返すときはもうちょっと笑いに昇華したもののほうが良いのですが、心の中でどう思おうと自由だもんね!

「Twitterで知り合った友達と趣味の話が盛り上がって楽しいんだよ!……貴様と話すよりな……」

「ジャニオタやってて得られる幸せ知らないだろ! ジャニオタだと彼氏ができないってただの憶測だろっ!!!!」

「出た~! 勝手に知りもしない子供の立場になって持論押し付けるやつ! そんな無責任なことを言うなら金をくれ~!」

「オッサンの言う女子力磨けは、女らしくしろ! という古い価値観の押し付けそのままなこと多し!! 新しい言葉で古い価値観押し付けてくんなや!」

「この人も結婚適齢期を過ぎた女を見ると早く結婚しろと言わずにはいられない病気にかかってるのね……」

「はいはいはい、じゃあお前も一人前になるために一回産んでこい!」

「男に好かれるためにダイエットしてるわけではない! お前中心に世界は回っていないのだ!!」

「スマホで何をしてるか、じゃなくてスマホというだけで目の敵にする人の視野の狭さたるや、仕事できなさそうだな」

「ローン、頑張れ」

ではみなさん、心を強く持ってこの荒波の中ぐいぐい進んでいきましょー!!!