今森光彦

昆虫(むし)の地図館
日本の里山昆虫記

写真家・今森光彦が贈るフォト日記。
「環境」の視点から日本全国の
取材と撮影を続ける筆者が語る
里山の昆虫の「今」。
各地に見られる昆虫たちの姿を
最新の美しい写真でお楽しみください!
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シンジュサン。この時期の木城を代表する大型のガです。

第10回 里山むしむし合宿 その2
宮崎県木城町 木城えほんの郷
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  • 第9回に続き、宮崎県木城えほんの郷から。今回は、木城の豊かな環境に見られる昆虫たちの姿を紹介します。

木城えほんの郷でおこなわれるむしむし合宿では、田んぼ、雑木林、水辺など、色々なところで昆虫を観察する。そんな個性ある環境が手の届く範囲にあるのだから、ほんとうにありがたい。私がいつもフィールド観察をしている滋賀県の湖西地方とは、昆虫たちの顔ぶれがやや違うのもうれしい。ほとんどが里山を代表する種類なのだが、ここはなんと言っても宮崎県、時々南方系の昆虫が姿をあらわすので油断できない。

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参加者は、80名。関東地方など遠路からやってくる人もいる。

蟻
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やっと捕まえたギンヤンマ。

水辺は、水のステージと呼ばれるため池、田んぼに隣接した湿地、小丸川の支流にあたる渓流などを訪れる。止水や流水など、それぞれに異なる環境なので、見られる昆虫たちがまったく違う。水遊びをしてのんびりしている暇などない。

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ハグロトンボは田んぼの近くに多い(左) ウスバキトンボは、ため池の土手に群れ飛んでいる(中) オニヤンマは渓流が大好き(右)

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道沿いに咲くクサギの花は、絶好のポイント。

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ミカンが食草のクロアゲハは、人家の近くでみつかる(左上) クルマバッタモドキの後ろ翅は、とても美しい(右上) ナガサキアゲハは、クサギの花にやってきたところを捕らえた(左下) 大型のショウリョウバッタのメスは、土手やあぜ道に多い(右下)

蟻
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樹液が出ているところを発見したが、高くて届かない。さあどうしよう。

甘酸っぱい匂いがしたら樹液が出ている証拠。クヌギやヤナギの木があったら幹を調べてみる。ゴマダラチョウやスミナガシなどが、集まっていることがある。こういう場所は、夜に訪れると、カブトムシやクワガタムシにも出会える。

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南方系の昆虫、アカギカメムシは、アカメガシワに集まる(左上) 昆虫好きが憧れる南方系の蛾、クロメンガタスズメの幼虫(右上) アブラゼミが羽化しているところをみつけた(左下) ノコギリクワガタのメス。最盛期は、7月上旬ごろだ(右下)

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南方にしか見られないイシガケチョウ。

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南方の照葉樹の森に棲むムラサキツバメ(上) キオビエダシャクは、九州から沖縄に見られる南方系の蛾(中) 白い斑紋をもつウラギンシジミのメス(下)

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クチバスズメは、幼虫がクヌギやコナラの葉を食べる。

蟻
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前翅の先端が、蛇が鎌首をもち上げているように見えるので擬態だともいわれるが、真相はどうなのだろう。

シンジュサンは、私が大好きな蛾。ヤママユガのなかまなので大型だ。滋賀県でも見られるが、やはり南方に多い。宮崎県では普通に出会えるので、ほんとうにうらやましい。世界最大の蛾、ヨナグニサンに姿が似ているので品格がある。

蟻
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奥深い照葉樹の森がひろがる木城町。雨が多く、時には川が氾濫することもあるけれど、時として荒ぶれる厳しい自然がみごとな里山をつくりあげている。これらの森は、何百年もの間、薪炭林として人々が関わってきたところで、それと共存するように昆虫たちも生きてきたということを忘れてはならない。木城えほんの郷の豊かな自然を残すにはどうしたらいいのだろう。小さな生命たちが、私たちにそんなことを語りかけているような気がした。

蟻
  • Profile
    今森 光彦

    (いまもり みつひこ)

    1954年滋賀県生まれ。写真家、ペーパーカット作家。
    人と自然が共存する琵琶湖周辺の里山を30年以上にわたって撮影してきた。
    近年は、「ニッポンの里山」をテーマに日本全国を旅し、ここ10年で訪れた里山は、200箇所をこえる。
    一方、熱帯雨林から砂漠まで、広く世界の辺境地も取材している。

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