大躍進した都民ファーストへの懸念……現職都議が明かす小池知事の「利権奪取」

 小池百合子知事の地滑り的な勝利――7月2日に投開票された東京都議会議員選挙を、AP通信はこのように報じた。地域政党・都民ファーストの会をはじめとした知事を支持する勢力の獲得議席は79(過半数は64)。対峙する自民党は、改選前の56議席から23議席と激減し大惨敗を喫した。

 「東京大改革」を掲げる小池陣営への都民による期待が高いことがうかがえる一方、「議会は知事のイエスマンで占められてしまうのでは」との懸念もある。先の都議選で3選目の当選を果たし、小池知事に対して中立的な立場をとる都議の柳ヶ瀬裕文氏も、5月に刊行された著書『東京都庁の深層』(小学館)の中で、次のように述べる。

 「私は小池知事が真に改革を目指すのであれば、『是々非々』の立場で協力していきたいと考えている。しかし、知事がその方向性を見誤ってはいけない。また、知事という権力を手にしながら、自らがそれに踊らされるようなこともあってはならない」

 「本来、その軌道修正を促すべきは『小池新党』なのかもしれないが、若手中心のメンバーとなれば、なかなか知事に対して『非』を申し出るのは難しいだろう」

 柳ヶ瀬氏が危機感を持つ理由として、日本の地方自治の根源にある「二元代表制」を否定することになりかねないことが挙げられる。二元代表制とは、民意によって選ばれた知事(あるいは市区町村長)の行政施策を、同じく民意によって選ばれた議会がチェックするものだが、チェック役となるはずの議員が知事の方針に従う姿勢を示すだけでは、この原則が崩れてしまう。

 その上で柳ヶ瀬氏は、都民ファーストの会の若手・新人議員が「非を申し出にくい」であろう、小池知事の権力を濫用していると受け取られかねない行為を明らかにする。

 昨年、都議会に割り当てられていた200億円の復活予算を小池知事が廃止し、全国紙やテレビでも大きく取り上げられた。これまで都議会守旧派が各種団体へこの200億円を割り振り、その見返りとして当該団体に票の取りまとめをしてもらっていたもので、利権の1つといえる。復活予算の廃止自体を柳ヶ瀬氏は評価しつつも、その後、小池知事は自ら復活項目を査定し、その可否は都庁の“密室”で各団体に伝達していた事実を指摘。つまり、かつて守旧派が保持していた利権を、知事が奪取したに過ぎないということである。

 豊洲市場の移転と築地再開発、2020年のオリンピック・パラリンピックなど、東京都が深く関連するイベントが、今後も控えている。現職都議の言葉に耳を傾けてみれば、これらのニュースの裏側を読み解くカギになりそうだ。

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