大反響の動画をきっかけに書籍化! 葛藤の末、ダウン症の弟への偏見を乗り越えた兄弟の実話

昨年7月26日未明に知的障害者施設「津久井やまゆり園」の入所者19人が死亡、職員ら27人が負傷した相模原障害者施設殺傷事件。その痛ましい事件から1年が経った。事件を風化させないため様々な番組で特集が組まれている。
近年、共生社会実現のためバリアフリー化が進んでいるが、事件が報じられるについて浮き彫りになったのは、障害者への差別や偏見を克服することがいかに難しいかという現実ではないだろうか。

ダウン症候群の弟を持つ著者ジャコモ・マッツァリオールが上梓した『弟は僕のヒーロー』(小学館・関口英子 訳)は、イタリアで15万部のベストセラーとなった『Mio fratello rincorre i dinosauri』を邦訳した一冊。姉と妹に囲まれた主人公ジャコモは、弟ができる事を大喜び。ジョヴァンニと名付けられた弟は「特別」だと聞かされていた。しかし成長につれ「特別」の意味を理解したジャコモは、次第に弟の存在を隠すようになる。自分の症状など気にしないかのような無邪気さで、すくすく成長していくジョヴァンニが主軸として描かれる一方で、弟への偏見を乗り越え、精神的に成長していくジャコモの姿にも心打たれる。
ジャコモがジョヴァンニと共に制作した動画『The Simple Interview』 をきっかけに書籍化に至った本書。実際にジャコモとジョヴァンニが登場する動画は、ジャコモが葛藤の末に手に入れた「新しい景色」がじわじわと伝わる感動の5分半。YouTubeでは、再生回数30万回を記録しており、公開から2年経った今でも再生数を伸ばし続けている。小学館のホームページとYouTubeでは日本語訳付きの『ザ・シンプル・インタビュー』が公開されている。(動画はこちら。『ザ・シンプル・インタビュー』

イタリアでは1970年代から「インクルーシブ教育」に関する法整備進められており、幼稚園から大学まで障害のある子どもだけを対象とした、いわゆる「特別支援学校」が廃止されている。そのかわり、通常の学級でみんなと一緒に学べるよう、能力に応じて個別のプログラムが作成され、それに必要な要員や態勢が整えられている。日本でも「インクルーシブ教育」の構築が進められているが、人材の確保や環境整備など他の先進国と比較すると遅れをとっているのが現実だ。ジョヴァンニをとりまく環境は、日本人が持つ偏見や固定観念を乗り越え、真の意味でのバリアフリー社会を作っていく上で大きなヒントになるものばかり。日本で共生社会を実現するため、ひとりでも多くの人に手にとってもらいたい一冊だ。


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