半蔵が倒すべき、幕府を脅かす「真の敵」とは

【担当編集者の新刊おすすめ情報】

 
 活況を呈する文庫書き下ろし時代小説に、斬新な発想で登場したのが安芸宗一郎氏です。シリーズ二作目となる、『隠し目付服部半蔵「遠国御用組」始末2 イスパニアの陰謀』が発売になりました。鎖国で海外との交流が制限されていた時代に、イスパニアから日本にやってきた“バウティスタの涙”という一団は、日本のある勢力と組むことで残忍非道な事件を起こしていた。立ち向かうのは、女には弱いが剣の達人で天性の勘の良さを供えた男・半蔵です。
 
 シリーズ一作目から振り返りますと…。八代将軍吉宗の命により家人の三太夫と京都に向かった丹波半蔵は、いきなり大立ち回りに巻き込まれた。半蔵は味方となる人々と出会い、自分が伊賀者を統率する八代目服部半蔵であり、幕府を揺るがす巨悪に対して、自らの裁量で成敗できる遠国御用組の統領だということを知る。京都での一連の事件の黒幕は、“バウティスタの涙”と呼ばれる一味で、薩摩藩や外道衆と呼ばれる一団と組んでいた。そんな中、仲間のかすみが敵に捕らえられてしまうのだが…。
 
 ここに登場する「外道衆」とは、各地で食い詰めていた忍びを集めて組織した裏柳生という忍軍が解体を命じられ、柳生列堂義仙の元で存続のために押し込み強盗などの悪事に手を出すようになり、いつの間にか外道衆を名乗るようになった忍者たちです。戦国の世に各地の大名に捨てられ、今度は幕府に見捨てられることで、身勝手な武士へ恨みを抱くアウトロー集団となったのです。
 
 今回の「イスパニアの陰謀」は、江戸が舞台です。一家心中を装って商家が相次いで殺されていた。いずれも、大名や旗本に金を貸し付けて莫大な利益を上げており、幕府や大名が借金帳消しに企んだ陰謀にも取られかねなかった。そして外道衆と、さらには異国の武器を巡ってバウティスタの涙と半蔵たちは対決します。
 
 本書の時代から百年以上前の慶長十八(一六一三)年、伊達政宗はイスパニアとの交易を求め、サン・ファン・バウティスタ号という帆船を建造し、支倉常長を団長とする遣欧使節団を送りました。彼らはセビリア近郊のコリア・デル・リオという村に土着し、実際に子孫を残していたようです。現在でもコリア・デル・リオにはスペイン語で日本を意味する「ハポン」の姓を名乗る人々が600人ほど生活しており、遣欧使節団の末裔とされています。
 
 本書ではその使節団の中に、政宗専属の忍軍である黒脛巾組を紛れ込ませていました。その末裔が“バウティスタの涙”のメンバーになったのです。
外道衆の首領鬼達磨こと柳生列堂義仙が、死ぬ間際に言った「真の敵」とは誰なのか。バウティスタの涙の狙いは!? 半蔵と仲間たちの活躍をどうぞお楽しみ下さい。

 

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