「せっかく身につけた勝負下着なのに、ショーツの価値がわからない男なんて偏差値42」 男の本質をあぶり出す恋愛小説

 
【担当編集者の新刊おすすめ情報】
 
 センセーショナルなオビがかかる文庫『伴侶の偏差値』(深沢潮 著・小学館)が書店に並んでいる。偏差値42、言ってしまうと身もふたもない。だが、はたしてショーツの価値がわかる男、愛でる男の偏差値が70なのか? 価値がわかりすぎる男は男で、何か裏がありそうで疑わしいし気味が悪い。かくも女の求めるものは複雑で、欲深く、一筋縄ではいかない。そういう生物である女と恋愛しようと思うのだから男は奇特だ。抗えない「本能」というものがなければ、わざわざ魔窟へ踏み込む煩わしさなんて選択しないだろうと、女の私から見ても同情する。
 
 

 
 
 しかし、女の側にも言い分がある。男社会だと頼りがいのある信頼の厚い男も、女の前だといいかげんさと弱さをじわじわにじませていく。女だって、男に頼らず生きた方が、気楽で楽しいはずだ。だが、この煩わしさを背負いながらも求め続けていくしかないのだ。その男以外に35億の男がいると聞いたところで、男なんてみんな似たりよったりと女達は知っている。なのに、女達は男を許し愛し深みにはまる。
 
 この小説に出てくる主人公・真紀は、会社の上司・新宮と、ずるずると身体の関係を続ける。真紀は、この男との結婚を夢見ているが、男の方は、どうやら逃げ腰。だが、身体の関係だけは続けたい。典型的なダメ恋。はたで見ていると、「そんな男、とっとと別れた方がいい」「この女、大丈夫か?」と俯瞰できるが、いざ当事者になると、だいたいの女はこういう男に骨を抜かれる。どうして女は、ダメな男から離れられないという心理状態に追い込まれてしまいがちなのか。誰か脳科学的に説明して欲しい。
 
 『伴侶の偏差値』では、男と女のこのどうしようもなさを見事にあぶり出していく。女の本能、理想、弱さ、たくましさで緻密に構成された物語。目を覆ったふりをした両手の指の隙間から覗き見したくなる、覗き出したら止まらなくなる小説だ。はたして真紀は伴侶偏差値の高い男を獲得できる時がくるのか・・・・・・。
 
 男と女というどうしようもない生物。どうせ問題しか起きないんだから、別々に生きた方がいいに違いない。それでもお互いを求めざるをえず、愛おしく思わざるをえず、一緒に歩む道を選ぶ。なんといじらしい生き物か。物語に出てくる真紀を含めた3人の35歳の女性たちは、もがきながらもそれぞれの幸せを求めて突き進んでいく。その姿に勇気をもらう。
 
 物語の結末で35歳の真紀が自分なりの結断を下す。真紀がその後どんな幸せを実現しているのか、続きが知りたくなる。
 


 

深沢 潮(ふかざわ うしお)
東京都生まれ。2012年新潮社主催の第11回「女による女のためのRー18文学賞」大賞受賞。著書に受賞作を含む短編連作『縁を結うひと』(新潮文庫)、『ランチに行きましょう』(徳間書店)、『ひとかどの父へ』(朝日新聞出版)、『緑と赤』(実業之日本社)、『ママたちの下剋上』(小学館)などがある。
 
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