「末尾に『7』が付く年には金融危機が起こる」。2017年、このジンクスは現実のものとなるのか?


 
 リーマンショックから約10年。「100年に一度」と言われる未曾有の金融危機に直面し、世界中で株価が大暴落したが、あの時のことなど嘘のように、今、世界中の株価が上昇を続けている。人々は、まるでユーフォリア(陶酔感)にひたっているようだ。
 
 しかし、過去を振り返れば、金融危機は忘れた頃に突然やってくるもの。
直近では、2007年にバリバショックが起きて、翌2008年のリーマンショックへとつながっていった。その前には、1997年にアジア通貨危機が起きている。さらにその前を遡れば、1987年にブラックマンデーが起きて、世界中の株価が大暴落した。
 
 そう、末尾に「7」の付く年には、金融市場ではこれまで、何かと不吉なことが起こってきたのだ。
今年は2017年。末尾に7が付く年だが、ジンクス通り、金融危機は起こるのだろうか?
『東京五輪後の日本経済』(小学館)を上梓したばかりの、元日本銀行政策委員会審議委員のエコノミスト・白井さゆり氏に聞いた。
 
「私は職業柄、いろいろな方々から、金融危機についての質問を受けますが、金融危機について確実に言えることは、二つだけです。まずひとつ目は、『今後も金融危機は必ず起こります』ということです。景気には波がありますから、今はどんなに世界経済が好調でも、いつか必ず景気後退がやってきます。これがやがて金融危機へと発展することも十分考えられますし、突発的な出来事でマーケットが混乱し、金融危機的な状況になることは、今後も十分ありえます。また、歴史を振り返っても、世界各国の政府や中央銀行が、二度と金融危機が起こらないよう、様々な施策を行ってきたものの、さらなる金融危機の出現を防げなかったという事実もあるのです」
 
「ふたつ目は、『これまで起こったのと同じパターンの金融危機は、二度と起こりません』ということです。というのは、新しいパターンの金融危機が起こると、世界各国の政府や金融当局が、その原因を検証したうえで、同じパターンの金融危機が二度と起こらないように徹底した対応を取るからです。実際、これまで起こった金融危機を振り返っても、その後、同じパターンの金融危機が起こったケースはありません。金融危機について確実に言えることは、以上のふたつだけです」
 
 では末尾に「7」の付く年のジンクスについてはどうか?
 
「過去30年を振り返ると、末尾に『7』の付く年に、これまで金融危機が起こってきたのは事実です。しかし私は、それは単なる偶然ではないかと思っています。夢を破るようなことを言ってしまって、申し訳ないですが(笑)。ですから、2017年に金融危機が起こるかどうかは分かりません。ただ、いずれ金融危機がやってくる可能性がありますから、それに対する備えを怠ってはならないと思います」。
 
 末尾「7」の年のジンクスはあっさりと否定されてしまったが、最後に一つ、今後もし金融危機が起こるとしたらどのようなパターンのものになるか、白井氏に聞いた。
 
「今後、金融危機が起こるとしたら、これまで大規模な金融緩和を続けてきた各国の中央銀行が、出口政策(金融緩和政策の縮小や停止)を実行に移したときに、金融危機が起こりうるというパターンです。2008年のリーマンショック以降、各国の中央銀行は、大規模な金融緩和政策を続けてきました。市場から大量の資産を買い入れ、これが資産価格の上昇をもたらし、その結果、一部にはバブルではないかと指摘されるほど、株式や不動産などの資産価格が高騰しているケースもあります。また、政府や家計の債務も膨らんでおり、こうしたなか、もし中央銀行が大規模な金融緩和から退出してしまえば、マーケットがマイナスに反応し、債務不履行が急増して、それらが金融危機的な状態を招くこともあり得ると考えています」
 
 すでにアメリカの中央銀行にあたるFRBは、リーマンショック以降続けてきた大規模な金融緩和政策を終え、金融引き締めの段階に入っている。
だとすれば、白井氏の言うように、いつ金融危機が起こっても不思議ではないとも言える。
末尾「7」の年のジンクスが今年も現実のものになるかは分からないが、「金融危機はいつか必ず起こるもの」という、白井氏の警告に対して、私たちはしっかりと耳を傾けるべきだろう。
 
 

 

購入はこちら