飛車落ちで挑んだ『血涙十番勝負』の続編!
今回は「角落ち」で挑む将棋真剣勝負の抱腹絶倒記


 
 中学生棋士・藤井聡太四段が巻き起こした旋風でにわかに将棋が一大ブームとなっている。藤井聡太四段が連勝街道まっしぐらの時分は対戦模様がテレビやインターネットで長時間にわたって中継され、ニュース番組やワイドショーなどでも連日連夜その結果が取り沙汰された。将棋をまったく知らない一般の人々も藤井四段の一挙手一投足に釘付けで、将棋メシなる対局中の食事までもが今日のメニューはこれだったとか、何処の店の出前だったとかまで詳細に報じられ、同じメニューの売り上げが伸びるという熱狂ぶりはまだ皆さんの記憶に新しいだろう。
 
 実を言うと、かつて、五十年ほど前にも将棋が大ブームになった時代があった。大橋巨泉などの将棋好き著名人が週刊誌やテレビ番組でプロの棋士に挑むといったような企画がたいそう人気を博しており、当時、文壇きっての愛棋家であった作家・山口瞳も、「小説現代」の対戦企画で斯界の巨星・大山康晴から中原誠、芹沢博文、山田道美、米長邦雄ら第一線棋士との真剣対局“十番勝負”に挑んだ。その連載企画を一冊にまとめたのが1972年のユニークな自戦記『血涙十番勝負』(小学館)であり、その続編が今回の『続血涙十番勝負』(小学館)というわけである。前回は軽妙洒脱な文章で綴られながらも、将棋の世界に観る棋士の魅力と、戦いに挑む男の哀歓を描いて将棋を知らずとも読み応え充分、「血涙」はけっして大げさではなく、総ては勝つためと、山口瞳はステーキは食うは、マッサージ師を呼ぶは、酒は飲むは、挙げ句胃腸薬を飲んで下痢止めを飲んで身体は七転八倒――のまさに涙ぐましいほどの奮闘を繰り広げたのであった。
 
 その山口瞳が、続編では「角落ち」で内藤国雄、大内延介、有吉道夫、板谷進、木村義雄永世名人ら第一線棋士とふたたび真剣対局“十番勝負”に挑む。当時の小説現代編集部には再戦をのぞむ読者の声が澎湃ほうはいとして起こったそうである。「神武以来の天才」といわれ、現在も人気の“ひふみん”こと加藤一二三(対戦当時は八段)との激戦も収録しており、いま読んでもまったく色あせない魅力に満ちあふれている。ちなみに、加藤一二三九段は藤井聡太四段がプロになって初めて戦って、初めて勝ったプロ棋士である(2016年12月)。果たして、その結末やいかに?! 将棋をこよなく愛する人、勝負の世界に惹かれる人、男の人生を考える人に贈る、笑えて胸にしみる自戦記の続編だが、今回は復刻を記念して、雑誌連載当時の担当編集者・宮田昭宏氏が今だから話せる貴重なエピソードを披露している。
 

 

 

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