7年務めた商社を辞めて、好きなことを仕事にしたら年収が倍以上!?
「30代・幸せな天職」対談(第1回)

 

 

 『明日クビになっても大丈夫!』(幻冬舎)を上梓したフリーWEBライター・ヨッピーさんと、東北大学大学院情報科学研究科応用情報科学専攻准教授であり、量子アニーリング研究の第一人者、大関真之さんの対談『【誰でも分かる】「量子力学」ってなんなの? 詳しい人に聞いてきた【入門編】』(i:ENGINEER)は今でも大きなPV数を稼いでいる。今年2月に発刊された大関さんの著書『先生、それって「量子」の仕業ですか?』(小学館)を出版するきっかけにもなった、この“異業種コンビ”の対談が、お互いの著作が発売されたタイミングで再び実現した。

 第1回は「仕事は“好き”が最強!」がテーマ。商社を辞めて好き勝手しているのに、サラリーマン時代の何倍も稼ぐようになったというヨッピーさんに、「好きなこと」をして成功する秘訣、また、研究者としての枠にとらわれない活動を続ける大関さんには、組織で感じる違和感などについて聞きます。

 

今の30代は「見捨てられた世代」―?

―1981年生まれのヨッピーさんと1982年生まれの大関さんはともに、大学に進学した直後バブル崩壊の影響を受け「就職氷河期」を経験したロストジェネレーション世代。

 

ヨッピー(敬称略、以下同) 大関先生が35歳で僕が36歳で、ちょうどその辺の世代って就職活動ボロボロでしたよ本当に。みんな頭抱えてましたもん。それで景気がよくなった頃には僕らはもう中年だし、もう配られたカードで戦うしかないじゃないですか。そう思うと今の新卒って売り手市場らしいですし、めちゃくちゃうらやましいです……!

 

大関 不景気でしたね。

 

ヨッピー ロストジェネレーションとか言うじゃないですか。僕や大関先生はまだちゃんと就職できただけいいほうで、就職活動のタイミングで、思いっきり不景気で採用絞られてて、就職活動がうまくいかなくて「大学出たのに非正規雇用のままで、この先どうしよう」みたいに悩んでる人ってたくさんいるんじゃないかと思うんです。

 

大関 僕は大学卒業後は研究の道を選んだので、就職活動はなかったです(笑)。同級生がスーツを着込んで就職活動に励む中で、僕は取り残されていました。そういえば確かに同級生とか就職活動苦労してましたね。何社くらい受けたんですか?

 

ヨッピー 僕はそんなに受けてないほうですけど……、エントリーシート出した会社だけで50社くらいだったと思います。交通費だのスーツ代だのってお金はかかるし、「君ィ! 君みたいなモンが、ウチで何が出来るんだね!?」みたいなノリで圧迫面接みたいなのもあるし、受けても受けても落とされるし「俺には価値がないのかな」ってめちゃめちゃ落ち込みましたよ……!

 

大関 それは自信も無くしますよね……。商社に就職したきっかけは?

 

ヨッピー きっかけは『一番最初に内定くれたから』ですね。他にも受けてたところはあったんですが『こんなもんやってられるか!』と思って一社内定出た時点で就職活動やめたんですよ。でも結局は消去法ですよね。僕大雑把な性格だし絶対金融なんかは向いてないから、証券も銀行も保険も無理だと思って、広告か商社かなー、って。それでまず広告から受けましたが、全滅に近くて…(笑)。当時の広告業界って会社の規模が大きいのは売り上げベースで言うと上から5番目くらいの会社までで、そこから下になるとグッと規模が小さくなるんですよね。今みたいにネット広告の会社もないですし。その点、商社は上から5番目でもまだまだ十分規模が大きいので、広告の大企業がダメだったから、商社を受けようと思いました。とにかく不景気だし、大企業行っておかないと怖いぞ、みたいな。

 

大関 あまり志は高くなかった……(笑)。

 

ヨッピー そりゃそうですよ……! 僕みたいな麻雀ばっかりやってるダメ学生に志なんてあるわけないじゃないですか……! 大学なんて、大関先生みたいに理系は別としても、僕みたいな文系なんてほぼ遊んでますよ。こんな事言うとちゃんと勉強してる文系の人に怒られそうですけど。散々遊んで、酒飲んで、徹夜で麻雀して、「ウェーイ! ワー!」みたいな(笑)。それでいきなり就職活動で面接受けて、「君ィ! 人生の目標はなにかね!」って急に言われても、「ねーよ! そんなもん!」みたいな。本当に何もない。とにかくちゃんと就職出来たらそれでいいからとにかく内定をくれ、と。夢とか希望とか言ってられんわ、って。

 そんな風に僕の世代って社会から見捨てられた世代なので、社会に対する怒りとかはたぶん結構持ってる世代なんじゃないかなぁ。かつ社会に期待していないので、自分でやらなきゃしょうがないって思う気持ちも他の世代に比べて強いかもしれない。

 

大関 確かに自分の身は自分で守る意識がありますね。一見おとなしそうだけれど、「ああしてやろう」、「こうしてやろう」って内心ではしっかり考えている気がします。

 

ヨッピー 僕が新卒で入った会社だと、1才、2才くらい下の世代までは、同じように苦労してきた世代なんですけど、5才くらい変わってくると景気も上向きになってましたし、まじめで、素直で、ちゃんと一所懸命考える優秀そうな人たちが多かった。良い意味でも悪い意味でもガツガツしてないと言いますか。でも僕らの世代ってひねくれてる人間が多かったような気がします。会社を辞めてから元上司に会った時に言われたんですけど、『お前くらいの世代が、上司に怒鳴られながら育った最後の世代かも』って。今はもうパワハラなんてご法度の世の中ですし、それはやっぱり当時の会社の上の人がおかしかったからで、それで僕らも変にひねくれたのかもしれないなーって。就職活動も大変だし、上司のプレッシャーもキツいし。僕が辞める直前くらいに入って来た新入社員はほんと悪い意味じゃなくて、おとなしくて真面目で優秀な人たちが多くて、僕らとは全然違うなあって思いましたね。

 

―就職氷河期をそれぞれのスタンスで乗り越えてきた2人。しかし、就職後数年経って周りを見回してみると、残った同世代は少なかった。

 

ヨッピー 僕の周りは会社辞めて独立している人も多いです。商社出身っていう事も関係してるかもしれませんけど…。

 

大関 僕の周りだと大学院の同級生(当時24歳で就職した人たち)は、最初の会社はもう辞めている人が多いです。やっぱり就職活動時期、「妥協」とまではいかないでしょうけど、苦労していたから思うような職種には就けなかったのかな…。または時代とともに変化に柔軟に合わせるべきだと考えているのかな…。

 

ヨッピー たしかにそうかも。僕らの世代は志望していた会社、業界に入れているやつのほうが少ない。望んだ職種に就いているほうが少ないから、途中で進路変えている人は多いかもしれないですね。「やっぱりこれじゃなかった」とか、「景気もちょっとよくなってきたから、今のうちに変わろう」と思って行動した人も多いかも。

 

大関 すでにある程度の社会経験があるから、自分のやりたいことや好きなこと、得意なこともわかってきたはずです。だから次の職場では楽しそうに見えますね。

 

―大学卒業後新卒で商社に入社して2011年に退社するまでの7年間、ひたすらまじめに仕事をしていたヨッピーさんだが、当時から週末は記事の撮影など、いまの活躍につながることに使っていたという。今回発売した自著『明日クビになっても大丈夫』は、それも含め「好きなこと」で生きていく強さを綴った一冊になっている。

  

ヨッピー 僕がよく使う言葉なんですが、「一生懸命は好きに勝てない」って。一生懸命仕事する人ってもちろん偉いんですけど、そもそも仕事が好きでやっているやつには勝てないんじゃないかなーってつくづく思うんですよ。「ヨッピーさんYoutubeやらないんですか?」ってよく聞かれるんですけど、動画の編集って僕からすると「作業」だし「大変なこと」なんですよ。でも、知り合いのYoutuberの人達って「編集そのものが楽しい」「何時間もぶっ続けでやれる」みたいな人が多くて「こういう人には絶対勝てないから僕はYoutuberにはなれないな」って。その代わり僕は文章書くのが好きだし、全然苦痛じゃないからライターやってるわけで。やっぱり向き不向きとか好き嫌いはあると思うんですね。毎日12時間一生懸命働くのを3年休み無しでやったら体も心も壊しますけど、そもそも好きなことを仕事にしている人にとっては12時間働くのなんて全然苦じゃなかったり。プログラマーの人の中には仕事でコード書く息抜きに自分の好きなコード書く人っているじゃないですか。漫画も、仕事の息抜きに4コマ書いたりラフ絵描いたりする人がいるし。だから一生懸命さだけじゃその仕事が好きな人には勝てない。そう考えたら好きなことを追求するのがやっぱり良いのかなって。もちろんその「好き」を追及出来ている人の方が悲しいかな、圧倒的に少数派だとは思うんですけどね。

 

大関 それは間違いないです。似たような話ですけど、毎日の24時間の中で何をしているかを考えたら、人生の三分の一の8時間って寝ている。別の三分の一は仕事している。その仕事で死んだようなことやっていたら“生きている”のは残りのたった三分の一だけで、そうなれば「お前は既に死んでいる」ようなもの(笑)。仕事をどう楽しいものにするかが大切で、それがないとやってられないと思います。

 

―大関さんは周りが就職活動に励む中、研究者の道を進むことに決めた。それはそれでさまざまな葛藤があったという。しかし彼にとって研究の道は子供の頃からの夢。その夢が叶った今思うのは――。

 

 

大関 いろんなジャンルの研究活動ができて、今はもう毎日楽しくてたまらない状態です(笑)。「楽しくてたまらない!」と断言できる人生で本当によかったと思います。

 20代はそれなりにくすぶっていましたけどね。みんなが就職する中、自分は研究の道を選んだ。研究の世界も不景気じゃないですけど、分野によって流行り廃りがやはりあります。僕らの分野って基礎的な分野だから地味で、どんどん応用が叫ばれている中ではシュリンクしています。好きでやってはいるんだけど、なかなか難しい立場にいましたね。ただ同級生がちゃんと仕事をして、お金を稼いでいる以上、自分もちゃんと仕事をしてお金を稼いだ上で、研究の道を進もうと決めていたので、予備校講師をやりながら博士課程に行きました。おかげで人前に出るのは得意になったけど、本当に研究をしているのかって周りからはかなり心配をされていたようです。

 博士課程を終えた後が問題ですよ。予備校講師を辞めざるを得ないのと、慣れない大学の教員という仕事を経て、なんだか色々なところとの接点が少なくなりました。これはどうしたものかと悩んだ末、色々と仕掛けて世の中に知ってもらおうと思ったんです。その結果、大学の人ではない色々な分野で活躍する外部の人たちと会えるようになりましたね。

 色々な人にまずは知ってもらおうと思って、呼ばれれば必ず講演に行きます。こいつは面白そうだぞ、とメディアの人を含め色んな人が興味を持ってくれた。また次にほかのメディアの方々に知られて、「こいつ面白いぞ」といろんな人と繋がる。そういう流れがあって、研究に幅も出てきたし、世の中の課題や興味を知ることで、多くの経験を経て、徐々にやりたいことが出来るようになりました。内向きの研究活動と外向きの様々な形でのアウトリーチ活動が密接に関係した仕事スタイルが自分のやりたいことなんだとはっきりわかったことも大きいですね。

 思い描いていた夢とやり方は全然違うんですけど、自分が思ったことをやれるところまで来られた気がします。

 

ヨッピー 先生みたいに、本当にやりたいことを仕事にして、そんな風にして国民全員が幸せに仕事が出来たら最高ですよね。

 昔、将棋のプロ棋士の佐藤紳哉さんにインタビューしたことがあるんですが、プロ棋士って日本を代表する優秀な頭脳集団じゃないですか。全員化け物か、っていうくらい頭が良くて。取材した当時は佐藤紳哉さんの年収はサラリーマンと同じくらいって言ってたんですけど、プロ棋士になれるんだったら勉強すりゃ東大だって受かっていたでしょうし、司法試験だって医学部だって受かるじゃないですか。たぶん。

 それで、「その気になれば東大だって入れたでしょうし弁護士にだってなれたでしょうに、そういう道を選んだ、ほかの人達が自分より稼いでるの見て悔しかったりしないんですか」って聞いたら、「それは思わないですね。好きなことを仕事にして、お金もらえたり人に褒められたりするって、それ以上の幸せってないと思うんです。お金どうこうじゃなくて、ずっと好きなことやってられるのは、最上の幸せです」って言ったんです。

 なるほどなー、って。本当にその通りだなーって。だからこそみんなにそうなってほしいなって思うんですよ。とはいえ、実際に全国民が全員好きなことやるっていうのは難しいじゃないですか。好きな事やってもたいしてお金にならない、生活はどうするんだとかね。だから本業は本業であるとしても、ライフワークとしてもう一つ別の楽しみを持てるようなことを推奨できたらって思ってます。

 

―そんな思いを込め『明日クビになっても大丈夫』を上梓したヨッピーさん。刊行を記念して人生初サイン会を行なったが、「今後イベントは行なっても、サイン会はしたくない」というほど、複雑な気持ちになったという。

 

ヨッピー サインをすると時間がかかって、それに並んでくださる人がでてくる。その待たせてしまう時間が嫌なんです。僕みたいなしょうもない人間のために並んでくれるなんて申し訳なさすぎて消えたくなります。「こんなサイン誰がほしいんだよ」とか思いながらやってました(笑)。それならもう、イベントで集まってくれた全員で飲みに行った方が絶対楽しいのに!

 

大関 前代未聞ですけど面白いかもしれない(笑)。飲み会募集してほしいです。

 

ヨッピー 僕は「みんなで一緒に」みたいなものが好きなんですよ……。だから登壇者とそれを見ている人、みたいな構図も本当は嫌なんですよね。それだったらもういっしょくたにしてお酒でも飲んでるほうが楽しい。

 ほしがってる人にサインをあげるなんていうのはなんかもう究極系じゃないですか。すごい居心地悪かった……。

 

大関 上下つくりたくないって気持ちよく分かります。ちょっと話が逸れるかもしれないけれど、会社の集まりで行われる飲み会って自然と上下つくってますよね。

 

ヨッピー ああ、それもすごくいやです……。

 

大関 あの雰囲気をぶち壊したいですねー。

 

ヨッピー 会社の飲み会の文化とかほんとに嫌なんです。マナーっていずれルールに変わっちゃうじゃないですか。「ビールのラベルを上に向けよ」とか、理屈を聞いたらまあわからなくはないかな、と思うけど「それがルールだ!」みたいになると余計な仕事が増えるやん、って。それって西太后の時代みたいで、たとえば清の末期に敵が攻めて、偉い人に判断を仰ぐときでも、土下座を繰り返したり、取り次ぎに引き継がなきゃいけないとか、いろいろな儀礼があって。そんなことしてたら当然スピード感なんて無くなるし、気おくれして言いたい事も言えなくなるし、気がついたときにもう手遅れだったり。だからもう、ビジネスの根幹と関係ないマナーみたいなものってえいやってみんなで一斉に無くせば良いのにな、って。「お世話になっております」とかもそうですよね。ああいうのやめていきなり本題から入れば良いのに……。

 

―ふたりは「企業のスピード感の無さへの危機感」を異口同音に話す。

 

 

ヨッピー アメリカの実業家イーロン・マスクがCEOを務めるテスラ・モーターズの従業員に、自身のアドレスで「僕は問題を解決する際に、上司に報告し、その上司がさらに上の上司に話を持っていき、さらにその上司が別の部署に持っていく、というようなバカバカしい情報の伝達は一切許さない。話があるなら誰の許可もいらないから他部署のマネージャーや、私に直接連絡してほしい。円滑なコミュニケ―ションを阻害するようなものはすべて排除すべきだ」とメールしたっていう有名な話があるじゃないですか。僕もこれは本来正しいことで、企業はそうあるべきだと思うんです。

 

大関 なにかしたいって言ったら、まずここを通せとか、次は何々の会議を通せとか日本の大学も企業も障害が多すぎる。最近だんだんと大きいプロジェクトに関わったり、それを動かすことになってきたんですけど、その実現のために「人を集めさせて」とお願いして「よしいいぞ」と採択された計画だったので、「よし、いざ集めよう!」としたら、「まずは会議を通してください」と注意されました(笑)。さらに「その会議のために履歴書を作ってください」というので、履歴書を作ったら、次の会議で、今度は「うちの書式に直してください」というんです。それを誰が直すかといえば僕たち。こうやって研究者の手が埋まっていくんです(笑)。

 

ヨッピー そんな無駄なことありますか⁉︎ 大学の先生といえば、もう日本の大事な大事な、優秀な頭脳の持ち主なわけです。そんな人に履歴書作らせちゃだめですよ…(笑)。

 

大関 IPS細胞の研究でノーベル医学、生理学賞を受賞した京都大学の山中伸弥さんもにたような状況のはずです。マラソンで寄付金を集めて、その寄付金で雇った人を京大の事務を通すために手続きがあって、秘書さんを含めいろんな人に手伝ってもらいながら1つ1つ必要とされる手順を踏んで通している。

 

ヨッピー 山中先生の寄付金集めみたいな活動、僕はいい傾向だと思います。

 

大関 ああしないと続けて雇うことができないんです。国のプロジェクトって年度区切りだから、人を継続的に集めようとしたら、その次のプロジェクトを提案して、お金を継続的に確保しないといけない。プロジェクトごとに計画があり、それぞれは別のものとされるので合算もしにくい。そうすると一見お金はたくさんついているように見えても、細切れて短冊状になっているので、自転車操業になっていく。日々新規プロジェクトの申請書類に忙殺される。結局そういう背景があるから、寄付されたお金が一番使いやすくて、柔軟で研究者にとっては最大の武器になる。制度上仕方のないこととはいえ、今はあれしか道がないのが現状です。

 

ヨッピー でもね、寄付金募集サイトの設立は素晴らしいことだと思いますが、僕が山中先生だったら「なんで俺がこんなことやらなきゃいけないんだ!」って、アメリカに行っちゃってもおかしくないと思います。山中先生ほどの人でもお金集めに四苦八苦しなきゃいけないなんてやっぱりおかしいですよ。

 

――大学の教員はセンター試験や、学部入学試験、大学院入試の試験監督まで、研究とは必ずしも直接関係ない業務に時間を割かなければならないという。アメリカをはじめとする先進国ではこのような雑務は事務員が請け負い、大学教員が研究に没頭できるような環境が整えられている。このような環境に置かれる日本の大学教員だが、さらに文部科学省から学生の出席率に関してまで指導が入るようになったそう。

 

 

大関 最近は講義にしっかり出席させるように、という流れになっています。昔に比べたら今の学生は本当に真面目に講義を受けている。大学では単位を認定するためには講義、予習復習の時間が実はきっちり決められていて、それに見合った内容にせよ、と見直しが行われています。出席しないことは魅力のある講義ができていないからという側面もありますが、出席していないと「指導が悪い」ということになってしまいます。欠席の裏では各個人の人生を謳歌しているかもしれないけれど、全然来なくなってしまった学生について、最終手段として、教員が電話連絡をして様子を伺うなんていうことも出てくるようになりました。

 

ヨッピー えー! そうなんだ! 義務教育じゃないんだから、そんなのもうほっとけばいいのに……。

 いじめに関しても、報告すると教育委員会から問題視されるから、いじめがあったことを報告しない、みたいなことがあるらしいじゃないですか。怒られるからもみ消そうとする、なかったことにする、って本末転倒だなぁって。

 

大関 研究の場合には様々な経験や時間の経過とともに何か思いつくかもしれないから、ほっとくことも重要なんです。しばらく色々と試験錯誤をしてみようと言うんですが、今度は「指導しなかったでしょう」と言われ、ネグレクト扱いされることもあり得ます。学生の個人的な事情で来なくなった結果、卒業に至らなかったら最悪の場合「指導が悪かった」と言われてしまう。当の本人は「彼女に振られた」から辛かっただけという理由だったりして、そんなの本当に放っておけ(笑)としか言いようがない。

 

ヨッピー それも本末転倒ですね(笑)。

 

大関 誰のための教育なのかと考えたとき、学問的に優れた、どんな困難にも立ち向かえる学生に鍛えたいと教員はみんな思っている。それでも厳しくしたらハラスメントの問題も出てくるし、学校に来なくなるかもしれない。いわゆるアカハラ(アカデミック・ハラスメント)で訴えられるかもしれないから、指導も強くできない、と閉塞感に包まれている。これは少なくともの大学に関していえば、外部との接触が乏しい、研究室という状況で閉じようとしていることがまずいと思うのです。もっと世の中との接点を持った活動をする場所にする必要があると思います。

 

―日本の研究者が置かれる状況は悪化の一途をたどっているという。そんな、山積する問題の数々を解決する鍵は「発信力」にあるというのだが……。

 

次回は「発信力が未来を変える!」をテーマに、これからさらに複雑化する情報社会をどう生きるか、おふたりに聞きます。 (第2回は12月15日配信予定)

 

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