怒っている人がカッコいい!? それは大きな誤解です ――

 

 人は、オギャーと生まれた瞬間から、怒りで他者をコントロールする術を念入りに学習していきます。

 赤ちゃんはおっぱいがほしいとき、オムツが濡れたときなど、ちょっと不快なことがあればオギャーと泣く。そうすると、おかあさんは「ゴメンね、おなかがすいたね」などと謝りながらミルクをあげる。つまり、怒りの声をあげれば、他人をコントロールできるということが刷り込まれていくのです。

 だからいまでも怒っている人を、「正義感が強い」「きちんと自己主張ができて素晴らしい」と、ついついプラスに評価してしまいがち。でも、こんなかたちのコミュニケーションが健全であるわけがありません。そればかりでなく、余計な軋轢を生んだり、ストレスの源となったりして、弊害のほうが大きいのです。

 

 元横綱・日馬富士が、同じモンゴル出身の貴ノ岩(貴乃花部屋)を殴打し、ケガを負わせた事件が、連日、ワイドショーやスポーツ新聞を賑わせました。

 この間の貴乃花親方については、最初のうちは「相撲協会に報告する前に、勝手に警察に被害届を出すなんて、ルールを逸脱している」という声が強かったのですが、事件の顛末や貴ノ岩のケガの深刻さが明らかになるにつれ、「これでは親方が怒って当然」「余計なことをしゃべらず、怒りのオーラを出しているのがカッコいい」などと応援する声も上がりました。

 しかし、日馬富士にしても、貴乃花にしても、怒りで他者をコントロールしようとしているだけ。どっちもどっちで、とても褒められたものではありません。

 相撲協会も、貴乃花親方自身も、相当ストレスをため込んだことでしょう。怒りの暴風が吹き荒れているあいだは、正しい判断ができません。頭に血がのぼった状態で意見を戦わせても意味がないし、もし相撲をとったとしても、きっといい結果が得られないでしょう。“独り相撲”になるのが落ちです。

 

 そんな「怒り」について、テレビでも人気の心理学者・名越康文さんが上梓した、『〈新版〉自分を支える心の技法』(小学館)で詳しく解説してくれています。

 人はなぜ怒るのか、怒りの正体は何か、などを豊富な臨床体験から分析。怒りから解放されるにはどうすればいいか、実践的なメソッドを公開します。
また、名越さんが研究されている「性格分類」は、「そんなところまでわかるの!?」とびっくりさせられること請け合い。「ははあ、だからあの人はこういうことを言うのか」「あいつがこういういつも行動をとるのは、性格的なものだったんだな」と納得できます。 

 

 怒りに振り回される人生にピリオドを打ちたい人、他人の性格を理解したい人、心を落ち着かせる技法を学びたい人は、ぜひ手に取ってみてください。

 

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小学館
定価本体:780円+税
発売日:2017/11/29