発達障害は特別じゃない!
誰にでも見られるその特性とは?

 

 

 近年、注目を集める「発達障害」。最近ではアメリカでの正式な呼び方が「自閉スペクトラム症」に変わりましたが、日本ではまだまだ「発達障害」のほうがピンとくるでしょう。

 発達障害者支援法によると「発達障害」とは「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。

 具体的には、コミュニケーションがうまくとれない、貧乏揺すりのような意味のない行動がやめられない、思いついたことを衝動的に実行してしまう――などのアスペルガー症候群(AS)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、広汎性発達障害(PDD)、そして文字の読み書き、計算がうまくできない学習障害(LD)が含まれます。

 

 でも、そんな症状(と言っていいかどうかわかりませんが)は誰にでもあるもの。衝動性やコミュニケーション上の問題なんて、「一切ありません」という人のほうが珍しいでしょう。

 札幌で発達障害のある大人、子どもに献身的なサポートをしている「こころとそだちのクリニックむすびめ」の院長・田中康雄氏はこのように説明します。

 

「発達障害の特性は、誰にでも多かれ少なかれ見られるものです。(中略)ただ、医学的に発達障害と認められるには、その特徴が顕著であり、失敗やトラブルが生活に支障をきたすほど高い頻度で起こる場合ということです」

 

 では、もしあなたや、あなたの周囲の人が「発達障害」とわかったとき、どのように対処、対応すればいいのでしょうか。田中康雄氏と発達障害の当事者・笹森理恵氏との共著『「大人の発達障害」をうまく生きる、うまく活かす』(小学館新書)は、発達障害の悩みを解決に導いてくれる一冊になっています。

 

 発達障害を抱える人が“働きやすい”、“生きやすい”環境を作るには、本人が自分の特性を理解して、生活を工夫することが、いちばんに求められます。そして、周囲の正しい理解と協力が欠かせません。「発達障害だからできない」ではなく、「発達障害の人にしかできない」こともあります。

 ちなみに、周囲から「かわった子」といわれ、日常生活や仕事で躓くことが多かった共著者の笹森さんは、発達障害と診断されたことで気持ちが落ち着き、自分に合った仕事ができるようになったといいます。精神保健福祉士、睡眠健康指導士上級、メンタルヘルススペシャリスト認定など関連する資格を次々と取得し、発達障害ダイバーシティサポーターとして講演などで全国を駆け回る姿は「多動」そのもの。特性を武器に変えた好例といえるでしょう。

 

 発達障害の特性は、ネット上のセルフチェックだけで判断することはできません。また、「◯◯ ができなかったら発達障害」のようなはっきりとした線引きもないため、経験を積んだ専門医でなければ発達障害かどうかを判断することは難しいようです。

 しかし、マイナスなイメージを抱かれがちな発達障害を持ちながら、活躍している人も数多くいます。映画俳優のトム・クルーズ、オーランド・ブルーム、映画監督のスティーブン・スピルバーグなどはディレクシア(難読症――文字の読み書きに躓きがある)であるとをカミングアウトしています。また、実際に診断されたわけではないけれど幼少期の逸話から、トーマス・エジソンや、アルバート・アインシュタインなどの“天才”たちも、発達障害を抱えていたのではないかと言われています。日本人では黒柳徹子さんが有名で、『窓際のトットちゃん』をはじめとする著書で、LD(計算障害・読書障害)を告白しています。

 

 本書が教えてくれる「発達障害」を理解する術は、苦手と思っていた人を理解するうえでも必要な項目ばかり。新たな出逢いが増えるこの季節。苦手や偏見を克服して、いままでとは違う出逢いを迎えてはいかがでしょうか。

 

 

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書名  : 「大人の発達障害」をうまく生きる、うまく活かす

著者  : 田中康雄  笹森理絵

定価  : 本体720円+税

発売日 : 2014/12/01

発行  : 小学館

 

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