日本の防犯常識では子どもを守れない!?
事件が起こりやすい場所のたった2つの共通点とは。

 

 新潟市西区で女児が殺害され、遺体を線路内に遺棄されているのが見つかった事件。犯人は犯行現場からも、女児の自宅からもすぐ近くに住む男性だった。こういった痛ましい事件が起こるたび、メディアでは犯人の動機ばかりが注目される。日本では「犯罪者は動機があってこそ罪を犯す」と考える「犯罪原因論」をもとに防犯強化を進められてきた。そのため、事件が起こると容疑者の動機ばかりが注目され、「知らない人と話しちゃダメ」、「不審者に気をつけなさい」のように曖昧な注意喚起しかできずにいる。かといって共働きの世帯が増えている現代において、登下校中に毎日送り迎えをするのは難しい。日本の未来を担う子どもたちをどう守ったらいいのだろうか。

 犯罪研究の先進国であるアメリカやイギリスでは、「犯罪原因論」よりも「犯罪機会論」が社会に広く浸透しているのをご存じだろうか。「犯罪機会論」では容疑者が犯罪に手を染めるのは、その機会を与えてしまったことに問題があると考える。もともとは「犯罪原因論」しか存在しなかったが、解明しきれない犯罪の動機を追及するには時間もお金もかかる。その莫大な費用に税金が使われるなら、もっと効率的で明確に効果が出る対策が必要として「犯罪機会論」が生まれた。

 『子どもは「この場所」で襲われる』(小学館新書)の著者で、全国の自治体や教育委員会などに防犯のアドバイスをおこなっている立正大学の小宮信夫教授によると、犯罪機会論を用いれば、どのような場所が危ないか明確にアドバイスすることができるそうだ。

 

「普通、捕まろうと思って罪を犯す人はいません。犯罪を行っても捕まらずに逃げられると思ったときに実行に移します。つまり、犯罪者は場所を選んで犯行に及ぶのです。その場所の傾向を分析して出てきた答えが『入りやすく』『見えにくい』場所というわけです」

 

 入りやすい場所とは、簡単に入ることができ、誰かに見つかったときでもすぐに逃走できるような場所のことをいう。学校のように一見閉鎖的に見える場所でも校門が開けっぱなしだったり、入退出管理がされていないと入りやすい場所になってしまう。

 見えにくい場所とは、その場の様子をつかみにくい死角となるような場所のこと。逆に見晴らしがいい場所なら安全ということでもない。長い田んぼ道のように周囲に何もなく、人の目が届かない「見てもらえない場所」も犯人には好都合。もし誰かが近づいて来たときにはすぐに気がつくことができる。さらに粗大ごみが不法投棄されていたり、自転車が放置されているような管理が行き届いてない場所は「誰も見ないだろう」という心理が働き、犯行現場に選ばれやすいという。

 日本より治安が悪いとされる国ではどのような対策を取っているのだろうか。犯行現場に選ばれやすいとされる公園の防犯対策を見てみると、子どもが遊ぶ遊具を取り囲むようにフェンスが設置されている。もしフェンスの中に大人がいればすぐに気が付かれるため「入りづらい」空間が作られている。また、日本の公園では犬の放し飼いは原則禁止されているため散歩の通り道にしかならないが、海外では公園にドッグランやドッグゾーンのようなリードなしで過ごせるエリアも併設されており、愛犬家が集まり防犯の目が生まれる。

 本書では「この場所が危ないから気をつけなさい」というだけでなく、具体的な成功例を交え、対策も紹介している。

 

・「危ない場所を見分ける力」を上げる子どもとの日常会話

・地域ぐるみの対策で子どもを守る

・進化する防犯理論~海外と日本の防犯事情~

 

など、「犯罪機会論」で考えてみると、今までと違う視点で事件を見ることができる。

 梅雨が過ぎればすぐ夏休みに入る子どもたち。普段より1人になる機会が増える前に今一度、お子さんと一緒に危険な場所を確認してみてはいかがだろうか。

 

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書名  : 子どもは「この場所」で襲われる

著者  : 小宮信夫

定価  : 本体740円+税

発売日 : 2015/12/1

発行  : 小学館    

 

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