日大アメフト部の危険タックル問題、至学館大学の栄監督によるパワハラ騒動、文部科学省の私立大学支援事業をめぐる汚職事件など、一流大学に関連するニュースが後を絶たない。日大アメフト部の悪質タックル問題では、井上前コーチと内田前監督が開いた記者会見で日大広報の司会者が「(日大ブランドは)落ちません!」と答えたが、このような大学に自分の子供を入学させたくないと思った人が多いのではないだろうか。 3つの大学で講義を受け持っていた元非常勤講師の音真司氏が上梓した『Fランク化する大学』(小学館新書)は、オープンキャンパスが始まるこの時期、進路を決める前にぜひ読んでいただきたい一冊だ。

 

 なぜFランク化してしまったのか

今でこそ一般的に使われるようになった「Fランク」という言葉だが、その誕生は2000年。ある大手の予備校が大学入試におけるランク付けの際、試験を受ければ合格できる「フリー」の意味を込めて「Fランク」と呼んでいたことが始まりだそう。今では大東亜帝国(大東文化大学、亜細亜大学、帝京大学、国士館大学)よりも入学難易度が低い大学のことを「Fランク」と呼ぶのが一般的になっている。

 こういったFランク大学の多くでは、組織を維持することを至上目的としているため、講義の質を上げることや、学生を鍛えて磨くことを第一に考えていないという。さらに学費を集めるため何度も受験を繰り返すと、本来であれば来てはいけないレベルの学生も苦労なく紛れ込んでしまうそう。きちんと高校時代の成績を加味した推薦入試や、一般入試での学力考査を踏まえて入学させるなら問題はないが、定員の何割かは実質無試験で入学しているのが現実だ。

 

 劣化したのは学生だけじゃない?

Fランク化した大学では授業中の私語はもちろんのこと、授業中に急に席を立ちあがり友達とハイタッチするような学生、さらに酷いケースでは教員に向かってモップを投げる学生もいるというから、もうメチャクチャだ。講義中にモップを投げるなど、もちろん許されることではないが、教員にも少なからず問題があるようだ。

 モップを投げ込まれた講師は首都圏トップの大学や関西の有名大学でも教鞭をとっており、先の大学とは偏差値で25ポイント以上も差があるにもかかわらず、どの大学でもノート一冊で同じ内容の講義をしていた。つまり、本来であれば学生の学力に合わせ、教え方を工夫して講義ノートをつくりかえるという努力をしていない。さらに当該の学生をどうしたかと問えば、「もうね、何も言いません。ムダなのですよ、相手にしても」と、特に対処することもなく見過ごしたという。

 教員が本気で指導せず、大学側も手をこまねいているような状況では、学習意欲が高い学生は希望を持てないまま中退してしまうケースが後を絶たない。本書ではそのような事態を避けるためにも、大学の「現在」、大学の何が問題なのか、良い大学の見分け方、さらにはウェブサイトやパンフレットの見方から、オープンキャンパスで見るべきもの聞くべきことなど、要点を押さえて分かりやすく解説している。

 少子化が進み「2018年問題」と呼ばれる大幅な大学淘汰の危機が迫っているにもかかわらず、大学の数は年々増え続けてきた。組織の維持に目がくらみ、本来の高等教育機関の姿を失いつつあるFランク大学を減らすためにも「消費者」として厳しい目を持って、良い大学を選んでほしい。その正しい基準を持つためにも、窮地に立つ大学の現状を1人でも多くの人に知っていただければ幸いだ。

 

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書名  : Fランク化する大学

著者  : 音真司

定価  : 本体780円+税

発売日 : 2016/10/3

発行  : 小学館

 

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