「幻のサメ」にまつわる都市伝説

 最近、こんなニュースを目にした。


 2017年5月22日、千葉県館山市の沖合で、大きな口が特徴の「メガマウスザメ」と呼ばれる巨大なサメが定置網にかかっているのが見つかり、保護されたという。残念ながらそのサメはほどなくして死んでしまったが、その4日後の26日、今度は三重県尾鷲(おわせ)市の尾鷲漁港から20キロメートルの沖合で、水深約100メートルから引き上げた漁船の巻き網にメガマウスザメがかかっているのが見つかり、保護された。


 メガマウスザメとは、体長が5~6メートルで、その名のとおり巨大な口が特徴的なサメである。数年に1度しか発見されないことから、「幻のサメ」ともいわれている。1976年にハワイの沖で発見されたのが最初で、その後世界で100例ほど発見されているといわれているが、そのうち20例ほどが日本であるという。それほどにめずらしいメガマウスザメが、これほどの短期間に2例も日本国内で発見されるのはきわめてめずらしいことなのだそうだ。


メガマウス標本画(日本大百科全書<小学館>より。©大片忠明)

 このニュースで、私はメガマウスザメというものの存在を初めて知ったのだが、さらに調べてみると、メガマウスザメが発見されるのは地震が起こる前兆であるという都市伝説があることを知った。これまでの例では、メガマウスザメが発見された後、必ずといっていいほど大きな地震が起こる、というのである。その事例を事細かくあげているサイトもあった。


 もちろん、これにはまったく科学的な根拠がない。めったに見つからない「幻のサメ」といわれ、かつかなりインパクトのある姿のメガマウスザメが発見されると、何らかの出来事の前兆であると考えたくなるのは、人情というものであろう。


 私はこのニュースを見て、一つの木簡のことを思い出した。秋田県井川町の洲崎遺跡から発見された、鎌倉時代の木簡のことを、である。