• パックンこと、パトリック・ハーランです。
    ここに骨を埋めるつもりの僕が、愛する日本の未来のために、
    毎回「皆さんと一緒に考えたい問題」をひとつ提示します。
    難しい話はナシで、 ちょっとだけ「国内外両側からの視点」
    を知ってもらえたら嬉しいです。


第13回  選挙に行こう!

 

  突然ですが、皆さんは選挙に行っていますか?  

 2017年10月の衆院選は自民党の圧勝に終わりましたが、選挙のたびに話題になるのが、投票率の低さです。  

 ここ数年の参院選や衆院選の投票率は、50%台前半です。ということは、有権者の半分しか参加しない選挙で、全国民の代表となる国会の議席数が決まってしまうということ。

 特に問題なのは、若い層の投票率が低いことです。  

 たとえば、2016年7月の参院選の投票率、30代前半まではこんな感じ。   

  20~24歳/33・21%   

  25~29歳/37・91%  

  30~34歳/41・85%  

 実はこれが「年代別ワースト3」です。反対に「ベスト3」は……。  

  70~74歳/73・67%  

  65~69歳/71・65%  

  75~79歳/70・13%  

 

 20代で投票する人は3割程度。70代の半分しか投票していないんです! これでは投票する年齢層の意見だけが通って、政策が偏ってしまう恐れがあります。  

 まあ、若者層の投票率が低いのは、日本だけの問題ではないんですけどね。

 人は就職や結婚、子育てなど、さまざまな人生経験を通して社会と関わっていきますから、経験値が低い若い頃はあまり政治や選挙に関心を持てないかもしれません。

 実際、仕事が忙しいから選挙に行けないという人も多いですよね。  

 

 

「どうせ投票しても変わらない」はホント?

 でも、国民がより良い生活を送るためには、より多くの声が政府に届かないといけません。これは民主主義の根幹だから、皆もわかっているはずだけど、選挙となると「どうせ自分の一票なんて」と思っちゃうんですよね。  「どうせ自分の一票なんて」と思う方の中には、2種類いると思います。  

 

 一つは、どの政党も政治家もダメで、誰がやってもどうせ変わらないと諦めている人たち。これは海外でも見られる現象です。

 アメリカでは「政治家」は貶し文句として用いられるもの。自己利益でしか動かない、うそつきの塊というニュアンスで吐き捨てるように言う人も多い。そういう方にしてみたら、どうせ選挙に出るのは全員政治家なら、票を入れる気にならないのでしょう。

 日本の場合は、一度だけ民主党に任せた時もうまくいかなかったし、今の野党には政権交代はできそうもない。かといって自民党に任せても現状維持なだけ。どうせ何も変わらないだから投票してもムダ……こんな悲観的な理由で、投票行かない人が多いようです。  

 

 もう一つの理由は、現状にそれほど不満を感じていない人たちです。政府にどうしても声を届けなきゃいけないという必要性を感じていないんですね。 こういう方は日本に多い気がします。 

 いろいろな国に行って感じるのは、それぞれに問題はあるけれど、やはり日本はうまくいっている方の国だということです。治安は良いし、教育レベルは高い、保険制度はしっかりしているし、平均寿命も長い。中流階級が分厚く、貧富の差は激しいとはいえ、階級間の衝突がある訳ではない。ホームレスはいるけど、街中に飢餓に苦しむ人たちが溢れている訳でもない。 だから、現状に満足しているわけではないけど、まあ、わざわざ投票場に足を運ぶほど不満はないかな。悪くなるよりはマシ……なんて感じている方も多いかもしれません。  

 でも、それでは、本当に困っている人たちの声は届かないままです。  

 投票率が低ければ、ますます一票の格差は広がっていきます。特に、若者の声を代弁してくれる政治家は、今後ますます減っていく可能性があります。  

 投票しない若者層には貧困層も多く、もっとも政府の助けが必要な層です。そして、今の政策のツケを一番長く払わなければいけない層でもあります。  

 

 

投票率を上げるにはどうしたらいい?

 でも、考えてみれば、いろいろ策はありそうですよ。  

  たとえば、日本は「投票所に行って、鉛筆で書き込む」という原始的なスタイルを長年続けていますが、まずはここを見直してみてもいいかもしれません。  

 世界各国では、投票率を上げるためにいろいろな対策をしています。  

 たとえば、アメリカでは、不在者投票を郵送で送ることもできます。投票日を休日にしている国も多い。また、エストニアはオンラインで投票ができるようになっています。

 そこでハッキングが少し心配になりますけどね。ロシアが民主党本部のサーバーに侵入し、その情報をリークすることで米大統領選挙をかき乱したことも記憶に新しいですし、二重三重のセキュリティ対策を考えておかないといけません。ゆくゆくはこれができるようになると、オンライン投票は楽ですよね。  

 日本でも、近年は不在者投票に限り、スーパーや駅に投票所を置く自治体も出てきました。さらに、どの駅やコンビニ、学校、託児所などでも5分で投票できるようになったら、投票率は上がるでしょうね。仕事を休んで遠い投票所に行かなくてもいいシステムはもっと増やすべきです。

 

  投票を法的義務としている国も少なくありません。オーストラリアのように、投票しないと罰金を取られる国もあります。罰金といっても、オーストラリアは2000円程度。それでも投票率はとても高くて、国政選挙はだいたい90%程度だそうです。2000円でも、損をするくらいなら投票しに行こうという気になるんですね。

 

 子どもの頃からの教育を強化するのも大事なことかもしれません。 

 たとえば、同居している親が投票に行くと、子どもの投票率も高くなるというデータがあります。デンマークの調査ですが、同居する親が投票に行く家の子どもの投票率が71%だったのに対し、両親ともに投票に行かない家の子の投票率は14.5%でした。

 スウェーデンでは学校で模擬選挙を行うなど、政治教育を徹底しています。

 

  2016年から選挙権が18歳に引き下げられましたが、さらに下の世代のために働く政府を作るために、父母が子どもの代わりに投票できる制度なども考えられます。子供の分まで票を持つとしたら、子育て世代の政治力が増し、待機児童問題などもすぐに解決するかもしれませんね。

 

 民意を政府に届けるために、将来的には、選挙と同時に拘束力のない国民投票を行うことも考えらえられます。投票の際に、自分が優先して欲しい課題にもマークを付けるのです。たとえば教育の無償化とか、憲法改正とか、年金問題とか、早く進めてほしい課題に○を付けたり、政府案や野党案に賛成・反対を示したりするわけです。新聞社が行う世論調査は対象人数に限りがありますから、選挙で一斉に意識調査をすれば、政策の方向性ももっと民意を反映するように変わってくるんじゃないかな。

 それもあれば、国民も、もっと選挙に行く気になるかもしれません。

 

 

なぜ選挙改革は進まないのか

  うん、やろうと思えば、投票率を上げる策はいろいろありそうです。本当に投票率を上げたいならね! でも、なぜ日本では何十年も状況が変わらないのでしょう。  

 それはきっと、「改革を進めたくない人たち」がいるから。

 この制度で当選している皆さんが選挙制度改革の行方を握っているのです。選挙制度を改めてしまったら、今度は自分が当選しないかもしれません。それなら、改革なんて進めたくないですよね。一般には、選挙では投票率が下がった方が、与党に有利だと言われています。

 僕だって、外国人タレントがもっと簡単に入れるように日本の芸能界が改革されてもいいと、テレビでも言いますよ。でも、本音を言えば、高学歴の外国人お笑い芸人が増えたら困ってしまいます。公には呼びかけていても、裏ではこの狭き門を維持するようにします(笑)。政治家も芸人も自己利益を守ろうとするのは当然かもしれませんね。

 

 アメリカでも、大統領選ではヒラリー・クリントンの方が200万票も得票数をリードしていたのに、トランプが大統領になりました。これは「選挙人制度」の矛盾です。この共和党支持者に有利な選挙人制度を、民主党は改革しようとしていますが、トランプ大統領は決してその改革には賛成しないでしょう。

 日本では、2017年の衆院選で48%の得票率を得た自民党は75%の議席を獲得したのです。小選挙区制度などを見直す案もありますが、これじゃ与党が積極的に取り掛かると思えません。

 

 この問題は、特に政治家に任せていてはダメです。何も進みません。

 第1回の記事にも書きましたが、政治家は後ろからしか舵を取れないのです。自分の支持率をアップさせる短期的な利益を追い求めているだけです。

 

 ですから、政治家に任せっきりにするのではなく、どうにか民意を先に動かして、政治家が後からついてくるようにしないといけません。

 皆さん、投票に行きましょう! 周りの投票を呼びかけましょう! 

 まずはそれが大事です。

 

 そして、さらに投票率を上げたいなら、選挙制度改革も国民の方から動かなくてはいけません。民主主義は政府が民意によって結成され、政策は民意を反映することになっていますが、民意を固めて伝えなければ。

 それが国民の自己利益を守る策でしょう。

 

 

次回、 第14回  年金のピンチを救うのは、国民の当事者意識 は、4月13日(金)公開予定です。

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