伴田良輔 パズリカ対談
ゲスト 高木希奈先生(精神科医)終わりのないパズルの答えを探して その4 タングラムで占いを
パズルにはたいてい答えがある。でも人間の心の謎には答えがあるのだろうか?パズルと人間の心の関係を、精神科医の高木先生にお聞きした。(全4回)
その1   心の中のパズル   2010.07.09 UP!
その2   パズリカ療法!? 迷路からの脱出   2010.07.23 UP!
その3   マッチのないマッチパズル   2010.08.06 UP!
その4   タングラムで占いを   2010.08.20 UP!
その4 タングラムで占いを

伴田

先生は趣味でダイビングをされているんですね。

高木

はい。よく行くのは、グアムやサイパンです。
GWはお休みがとれたので、モルディブに行ってきました。
よいストレス発散になるんですよ!

伴田

お仕事柄ストレスが多い?

高木

そうですね〜。
精神科は、体力的にはさほどハードではないですが、
やはり精神的なストレスは溜まりますよね。
ダイビングは、“水中”というある意味非現実的な世界に、
文字通り「飛び込む」わけですから(笑)。
日常生活という現実から離れて、
キレイなお魚や珊瑚を見ながら、
ひたすらブルーの海の中にフワフワと漂っているのは、
本当に気持ちいいですし、かなりストレス発散になります。
医者の中でもダイビングやってる人多いですよ。

伴田

あと、車の運転もお好きだとか。

高木

はい。東京にいたときは、湾岸をよく走ってました。
音楽を大音量でかけながら(笑)。

伴田

真っ赤なポルシェがブログに出てましたね。
かっこいいなあ。
ところで、患者さんは男女どちらが多いんでしょうか?

高木

患者さんの割合は男女同じくらいだと思います。
女性は人間関係の悩みが多くて、
男性は仕事の悩みでうつ病になる場合が多いですね。
女性の場合は出産や子育ての悩みもありますし。
それに比べて、男性はたいてい仕事なんですよね。

伴田

そうですか。



高木

女性は悩んでるときや、答えがほしいときは
すぐ人に相談しますよね。
たとえば、女性は好きな人ができたら、
友達とかにすぐ相談しますが、
男性は好きな人ができても、
その人とうまくいった時点で、友達には事後報告。
その前の過程では他の人には相談しないですよね。

伴田

目当ての女性とまだうまくいかないうちに
他の男性に相談したり紹介したりすると、
横取りされてしまうというっていうのがあるから(笑)。
とくに紹介はいけません(笑)。
生物的に自滅行為です(笑)。
あ、紹介に関してはは女性の場合も同じでしょうね。
でも「相談」はするんですね。

高木

そこが違っているからおもしろいと思います。

伴田

女性の方がいざというときの決定力は強いですね。
男性はいつまでもうじうじ選択のパターンを
考えていたりして。

高木

私もそう思います。
でもたぶん、決定することに対して
誰かに後押ししてほしい、
というのが女性にはあると思います。

伴田

それが占いであったり、人生相談であったり。

高木

そうですね。
占いが好きな人に女性が多いのも
そのせいかもしれません。
いろいろな占いがありますよね。
西洋占星術、四柱推命、手相に血液型、
姓名判断などなど……。
でもやっぱり、昔から女性に人気なのは、
タロット占いだと思います。

伴田

じつはこれ、僕が作ったカード占いで、
タングラムっていうパズルでできているんです。
タングラムはシルエットパズルのひとつで、
1700年代に中国で生まれました。
その後世界中にひろがって、
ナポレオンやルイス・キャロルなんかも熱中してました。
このタングラムで占いのシンボルを13種類作って、
それぞれに4種類の色をつけた。
その52枚のカードと、1枚の女王カードの
計53枚で占うんです。

タングラム占いのカード。

高木

トランプと同じ数ですね。

伴田

はい。8年ぐらい前にふいに作って、
忘年会なんかで友だちを占うとみんな
「当たってる!」って叫ぶ(笑)。
先生も占わせてもらっていいですか?

高木

ぜひ、お願いします。

伴田

では、3回シャッフルしてください。
そしてカードを3枚ひいてください。

高木

はい。3回で3枚ですね。

オープンされたカード。左が1枚目、中央が2枚目、右が3枚目。

伴田

オープンします。
今回の占いは先生の現在を表します。
まず1枚目は……、すごい!
これはクイーンのカードでオールマイティなんです。
53枚ある中で1枚しかありません。
悪いカードをすべて打ち消してくれます。
次に2枚目のカード。
これは「秘密」のカードで、
何か心に秘密があるときに出ます。
黄色だから色的には1番弱い色ですから、
たいした秘密ではないですね。
最後、3番目は「注意信号」のカードで、
つまずいたり、転んだりすることへの
警告のカードなんです。
でも最初の女王カードが
すべての悪いカードを打ち消しますから、
大丈夫です。

高木

わ〜〜〜ホントですか!!
スゴイですね!! うれしいです。
秘密と注意信号が若干気になりますけど(笑)。
何かあったかな……?(と、しばし考え込む)
でもクイーンが出たので、
物事がすごくうまくいっているということですよね!
なんか、自信が出てきました。
これからも、すべてうまくいくような気がします(笑)。
ありがとうございます。

伴田

占いはこのへんにして(笑)、パズルを解くときに
有効な薬や飲み物ってあるんでしょうか?

高木

学生のときに薬理学の実習があったんですけど、
その中で、とてもおもしろいのがありました。
クレペリンテストを一斉にやりまして。
クレペリンテストとは、
1桁のランダムな数字が並んでいて、
となり同士の数字を足していくテストです。
答えが2桁になったら、1の位の数字だけを書いていきます。
たとえば、
7495638……と並んでいたら
134191……というふうに。

伴田

クレペリンテストはパズル的ですね。
「数字根」というのがあって、4桁とか10桁とか、
桁はいくつでもいいんですが、
その数の各桁の数字を全部足していくんです。
その結果得られた最後の1桁の数字に、
もとの数字の性質が隠れているという考え方で、
イギリスのパズルの王様デュードニーが研究して、
パズルも作っています。
でもそもそも数字根の性質を知らないと
まったく解けないんですよ(笑)。
その実習はどんなことをするんですか?

高木

その後、番号が書いてある紙コップに入ったコーヒーを
一人一人自由に選んで飲むんです。
その中に、半々くらいの割合で
カフェイン入りのコーヒーが混ざっているんですね。
自分が飲んだコーヒーにカフェインが
入っているかどうか見た目や味ではわからないし、
コーヒーを出した者(薬理学の教員)も、
どの学生にカフェイン入りのコーヒーが
当たるのかわからない。
このような、方法を「二重盲検試験」といいます。
その後またクレペリンテストをやると、
カフェインを飲んだ学生の成績が
目に見えて上がるんです。

伴田

なるほど、カフェインですか。

高木

集中力が出て、頭が冴えるようです。
私はたまたまカフェインの入ったものが
当たったんですけど、
実際、上がりましたから。

伴田

パズルにもコーヒーがいいってことですね。
そう言えば、僕も集中してものを書くときは、
1日20杯くらいコーヒーを飲んでるときあります(笑)。

高木

それは飲み過ぎでは(笑)。
コーヒーは飲みすぎると胃が荒れてしまいますし、
カフェインも飲みすぎると
依存症になってしまうんですよ。

伴田

ぼくは依存症に近いですよ。
やめたらまったく書けなくなるかも(笑)。

対談のおわりに
精神科医という仕事は、人を相手にする仕事の中でも
もっともハードなもののひとつではないだろうか。
人間の心というパズルは、解答の見えないパズルだから。

パズル作家のデュードニーが、
「面白いパズルの問題は、机の前にじっと座っているときに
思い浮かぶのではなく、別のことをしているときにふいに出てくる」
といっているように、ポルシェを運転したり、海中で魚の顔を眺めているとき
ふいに解答の出口が見つかったりすることもあるのだろう。

また、患者さんにとっては、高木先生もひとつの謎、
パズルにちがいない。
下世話な質問や、占いにも、キュートな笑顔で応じてくれて
ありがとうございました。今度は僕を診てください。

その1   心の中のパズル   2010.07.09 UP!
         
その2   パズリカ療法!? 迷路からの脱出   2010.07.23 UP!
         
その3   マッチのないマッチパズル   2010.08.06 UP!
         
その4   タングラムで占いを   2010.08.20 UP!

高木希奈(精神科医)

精神保健指定医、精神科専門医、日本医師会認定産業医。 1978年長野県生まれ。平成14年聖マリアンナ医科大学卒業。国立精神・神経センター武蔵病院(現:国立精神・神経医療研究センター)を経て、現在は愛知県と都内の精神科病院に勤務する傍ら、企業の産業医としても診療を行っている。趣味はドライブとスキューバーダイビング。

高木先生のブログ
http://ameblo.jp/ishi-kekkonn/