これまでのあらすじ

654年天皇孝徳が崩御して、翌年皇極宝が再び皇位に即き斉明となった。

時は大きく流れ、658年19歳になった孝徳の子有間皇子は、影皇子アサリに「皇子であることをやめよ」と進言され、妃にした刀鍛冶の娘ワタと民になることを決意する。

その頃、側近鎌足に有間の影皇子の存在を知らされた宝は、大きな衝撃を受ける。宝は有間に飛鳥の孝徳の大軽屋形を見回るように命じ、自分は牟婁の湯に行くと添えた書状を送った。

飛鳥で、案内役の蘇我赤兄から辟易するほどの斉明宝の失政を聞かされた有間は、成人になった有間が兵を挙げるのは雑作もないことだと迫られ、仕方なく「時が満ちれば備えもする」と答えてしまう。それが赤兄の陰謀だとは気づかなかった。

そしてその夜、有間は舎人鯯魚(このしろ)、米麻呂とともに謀反の罪で捕らえられる。報せを受けた宝は、皇太子葛城に有間の成敗を命じるが、気の優しい息子を信用せず、その出立の後ろから刺客国襲を送り込んだ。

妻のサヨリの初産に立ち会っていたアサリは、有間の身の上に起きたこの重大な出来事を全く知らなかった。